このチャプターの前号の訂正


前号で私は、北海道で、裏山を都市の人との交流の場としている農家、本田弘さんを訪ねたことを記事にしました。が、メモをずっととりながらはお話を聞いていなかったので、少し間違ったところがありました。訂正します。まず「カラマツ林から切り出した良い材で、鶏小屋を建てた」というところですが、その材は小屋のために切ったのではなく、間伐材を利用したものです。私が昨年の夏林業実習に行った際、苦労の末切り出した間伐材を「全然お金にならないからこのまま腐らせます」と指示されたことを思い出しました。森が与えてくれるものに、何一つ無駄なものはないはずなのに、経済論理がいかに林業を淋しいものにしているか。山のものを暮らしにどんどん活かす本田さんの技とはまるで対称的です。
 それと、ハクウンボクのこと。「大きな白い花を咲かす」と書いてしまいましたが、これは全く私の記憶違いです。ハクウンボクは下の図のように、エゴノキに似ていて、小さい花を房状に咲かす木です。「白雲木」と書きますが、白い花が群がって咲く様を白雲に見立てたといわれています。つくばでよく見られるのはエゴノキ。筑波大学構内でも、5月中旬によい香りを漂わせていました。私が感違いしていたのは右ページのタイサンボクです。この別名がハクレンボクなので、つい。北アメリカ東南部に分布していますが、日本でも庭園や公園によく植えられています。花がとても大きくて、大人の頭くらいはあります。これもとても良い香りがします。ちょうど今開花時期ですが、皆さんのお手元にこの新聞が届くころにも、まだ咲いているでしょうか?ぜひ見つけてみてください。

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←↑タイサンボク

 モクレン科。ハクレンボクとも。モクレン科の他の仲間(ホオノキ、コブシなど)は落葉するが、これは常緑。葉の長さ10〜20cm で厚い革質。花は白く大型で直径25cmほど。芳香がある。


egoXL.GIF←エゴノキ

エゴノキ科。 暖帯〜温帯南部。葉は卵型 で7cm位。花は5月中旬に 咲き、白く、よく香る。

haksunXL.GIF

ハクウンボク→

エゴノキ科。温帯地方、本州〜北海道に分布。葉は円形に近く 15〜20cmにもなり、別名ハビロ。花は6月上旬に咲き、白色でよく香る。房のように20個内外の花が下向きに付く。ハクウンボクもエゴノキも種子から油がとれる。






今回のキーワード〜〜感性


 先日、農林水産省行政職の方と、4人の他大学の学生と、議論する機会がありました。有機農業に取り組むことと同様に、食べることの大切さを訴える私に対して、その5人の男性達は「農や食を第一に考えて生きてもいいが、他の、例えば科学的学問の追及のために生きる人がいてもよい。個々人の価値観を侵害することはできない」と声をそろえます。しかし私は思います。命をつなぐことができなくなれば、稼いだお金を使うことも、文化活動もできません。
 どうも私達は「いのちを感ずる感性」が鈍ってしまったように思います。自分で新たな生命を産み出すことのできる女性に比べて、賃金労働のために育児からも切り離されてしまっている男性は特に深刻な状態です。農薬も原発も、程度の差はあっても、いのちを危険にさらすことに変わりはありません。そのような「いのちに対する危険を察知する力」が薄れていくのも、私達が自分のいのちについてすら「生きている」と感じていないからではないでしょうか。
 毎日植物が成長する今、外へ出て、季節の花の香りをかいだり、桑の実で口のまわりをすごい色に染めたり、池から跳ねだしたカエルをさわってみませんか。自分の周りにたくさんのいのちがあることに気付くと、だんだん「自分は生きている」のだと気付いてゆきます。


 ひえの会の畑で、草の匂いのなか、ごろ〜んと横になりたい人、遊びに来てください。
 



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