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 年明けに体調を崩し、1週間程寝込んでしまいました。湯たんぽ入れて、ひたすらねむる毎日でした。宛名だけ書いた年賀状がウン十枚、気にはなるものの体が動かないのです。「機械文字」だけの年賀状に返事を書きながら、気持ちは沈むばかりでした。



 「おばあさんの植物図鑑」
 文;斉藤政美 語り;椎葉クニ子
  葦書房(1995) 237p(2200円+税)



 宮城県椎葉村、人口5000人ほど、全面積の99パーセントを山林が占める小さな村です。そこで今も焼き畑を続けているのは、椎葉秀行さん、クニ子さん夫妻です。幼少の頃から焼き畑の手伝いをしていたというクニ子さんは、父親から植物に関する様々なことを教わりました。そのクニ子さんと椎葉村の人々との、草や木や花とのつき合いが語られたこの本は、足掛け4年にわたって、地元の新聞に連載された話しをまとめたものです。

 本のさいごに、植物の方言名と和名との対比表が付いていますが、そこには何と550をこえる植物があげられています。

 まず第1章では、「食べられる野草と木の実」として、フキのとう、ワラベ(ワラビ)、ゼンミャ(ゼンマイ)と、山菜が次々に出てきます。そして、野生のフジの花が咲く頃には、花を混ぜてお豆腐を作っていたことも。色もきれいでおいしいだろうな、と思います。

 第2章からは「薬草と毒草」、「暮らしに役立つ植物」、「庭や畑で栽培できる植物」、「年中行事と伝承に生きる植物」、「山里を彩る植物」と続きますが、ここに語られている話しには、おいしさと知恵がいっぱい詰まっていて何度読んでも飽きません。

 都会に住む私にとっても、いつも傍らにおいて、時々はページをめくりたい本となっています。







 「すべてのひとに 石がひつよう」
 バード・ベイラー著 ピーター・バーナル画 北山耕平 訳
  河出書房新社(1994) (1553円+税)


 あなただったら、この題名から、どんな世界を想像されるでしょうか。

  すべてのひとに
  石がひとつ
  ひつよう


 どんなに物をもっていても「友だちの石を 持っていなければ その子は かわいそう」だから、この本では「石をひとつ 見つけるための 10のルール」を教えてくれます。

 あなたにも、ぜひ手にとっていただきたいのですが、残念なことにこの本は、いま品切中で再版の予定もありません。私は、しばらく待たされはしましたが、出版社に返品されてきた本を手に入れることができました。添えられた手紙には、「汚れがありますが、いかがかと。」

 やっと手にした不思議な絵本です。




y-anata2.GIF 今回は、「フキのとう」です。

 「何といっても天プラが一番」という椎葉クニ子さんですが、その他に、つくだ煮や焼きフキのとうも。

 竹の小串にフキのとうを3つ刺して、
「さて 味噌つけて 火に焼いて、
 あな苦きよと 一つ食べ、
 あなうまさよと 二つ食べ、
 あないつくしと 三つ食べ、
 さて、さびしやと、我ゐたり」
とうたったのは、北原白秋。

 私は、香りと苦みをやさしく包みこんだ、みじん切りしたフキのとう入りの玉子焼きが好きです。


 それでは、また。

高木 俊江

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