追加教習
ミサイル回避法・命中法 詳解


 ミサイルは「飛距離」と「誘導性」のある兵器です。じゃあ撃たれたら確実に当たるしかないのかというとそうでもなく、上手に飛べば回避する事だって出来る筈です。その為には……

1;ミサイルの飛距離限界より遠くまで逃げ切る。
ミサイルの速度より自機が速い場合や、ミサイルが短射程で自機との間に充分な距離があれば、ミサイルを背後にして全速力で飛ぶことで振り切ることが出来ます。でもYSFS2000では低速の空戦時にミサイルを撃たれる場合が多いので、多くの場合逃げ切れません

2;ミサイルを障害物に当てる。
低空で飛び、山やビルなどを自機とミサイルの中間に挟み、自機がミサイルの直撃を受けるのを避けます(実機なら誘導力をもカット出来る場合が多く、非常に有効)。でも短射程ミサイルを撃たれた場合、ミサイルと自機との間にそれほどの距離がなく間に合わないことが多いです。そしてYSFS2000では(空対空には)短射程ミサイルしか用意されておりません。

3;ミサイル誘導システムを無効化する。
現実には更に、誘導能力を騙すことで逃げおおせる方法(チャフ・フレア・ECM等の機器や、太陽を見せたり火災を利用したり等の状況利用)があります。ですがYSFS2000ではこのシステムが絶対に狂わないので、この方法は使えません。

4;ミサイルの誘導力を超える機動をする。
ミサイルの弾速は非常に速いことが多く、その為にミサイルの誘導力=旋回力を超える機動を見せることで回避することができます(慣れてくるとコレが最も面白いんだけど)。もちろん、大型機や出力も高度もない状態の機体など、この方法ではミサイル回避できない機体も多いのですが、YSFS2000ではこれだけが常に有用な戦術になっています(=旅客機などの大型機は、ほぼ絶対にミサイルを回避できないワケです……)。
というわけで、この4;の挙動を頭に叩き込むことでミサイルを回避することが可能になります。


 回避の方法は、ミサイル誘導の曲率を超える方向=ミサイル旋回限界の内側へ全速力で抜ければOKです。最短距離を取りたければ、【ミサイル旋回限界の曲線】【自機】【鉛直方向で結ぶ方向】で飛べば良い(中学数学ですねぇ……(^^;;;)わけです。
 ということは、ミサイルが放たれて直ぐなら左右どちらかへ、しばらく時間が経てば斜め方向へ飛べばいいのです。図は2次元ですが、曲がる方向などは左右にとらわれず上下でもナナメでも何でも良い筈です。
 実際にこれを拡大解釈し、上の箇条書き1も取り入れた場合、回避の概念図は下のようなものになるはずです。
概念図1



 ですが、この考え方で回避する限り絶対に回避不能な領域が出てきます。それが【涙型ゾーン】です。
 ミサイル旋回限界と自機の鉛直方向までの距離と、自機の行動可能な半径を比較して、自機の行動可能な半径の方が小さければ確実に喰われるからです。つまり、その空間にいる限り何処に向かって飛行したとしても、どんなに激しい旋回運動をしても絶対に逃げられないわけです……。この場合でもミサイル飛距離限界を超える位置へ飛べるのなら回避可能ですが、そうでもない場合は絶対に逃げ場所がありません!
 この恐るべき位置の概念図は以下の通りです。
(本来ならミサイルが旋回する過程で減速するため、ミサイル飛距離限界は左右に対しては楕円状に潰され中央部が伸びるので、もっと『涙』らしい形状になります。念のため)
概念図2



 となると、エンジンの出力を絶対に最大にし、高度がある場合は思いっきり高度を下げ全力で旋回して回避方向を向いたらもうそれ以上は余計に旋回せず、普段から最低限度の速度は失わないように飛行することで、この「行動可能円=自機速度」を一定以上の大きさにすることがミサイルに対する最大の防禦策になります。
 下記は上の概念図と同じ状況で、行動可能円の半径が1.5倍だった場合です。
概念図3




 というわけで、全て総合すると;
1;速度と高度をある一定以上は常に保っておき、突然の事態に対応できるようにする。
2;ミサイルを撃たれたら、素早くミサイル旋回半径の内側のなかで最も高度の低い方向へ機首を向かせる。
3;旋回中にエンジン出力を最大にし、機首を向かせたら無駄な旋回で速度を落とさず、少しでも早く突破する。
4;ミサイル位置が遠い場合は飛距離限界を越える位置を狙ってもよく、また障害物を盾に利用できないかも考える。




攻撃側へ;

 攻撃側としては、この防禦側の行動を念頭に於いて闘えば良いわけです。誰でも考えつくのは、この「涙型ゾーン」に敵機を入れてから撃つ習慣をつけることで、これだけでも撃墜率がかなり増大する筈です。この涙型ゾーンは防禦側がどっちを向いていても確実に誘導できる範囲であるので、敵機と真正面から相対するヘッドオンの時でも充分に利用できます。

 この『涙型ゾーン』が防禦側の方向を考えに入れていないものである点を応用させ、敵機の向きを考えに入れた場合は更に凶悪な攻撃が可能になります。敵機の後ろからミサイルを撃った場合、ミサイル旋回半径の内側に入るためには大幅な旋回が必要になり、事実上『涙型ゾーン』が拡大せざるを得ない点をつけばいいのです。大して接近しなくても、向きが後ろや横からだというだけで命中率が上がるのは間違いないでしょう。

 また、今回提出したこの防禦側の結論で大きいのは「速度の上昇が鍵である」という点でしょう。つまり旋回性を最大にする為の『最小速度での最高の小回りを狙う』という技術と相反するので、機銃攻撃手にとって非常に有利な挙動を誘い出せるわけです。
 そんな訳で『ミサイル回避中の敵機に機銃を当てに行く』という戦術は、かなり接近した1−2サイクルドックファイトに入ってしまい、機銃を避ける為の旋回とミサイル旋回半径を出し抜く為の旋回が同じ飛び方になる以前、すなわち戦闘の序盤に使うと物凄まじく有用な手です。私などはよく使ってます。
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