1990-10-14 羽前向町[最上]−立小路 500mm | | 中山平という駅で下車し、駅前の C58 356 を横目に見ながら鳴子峡を目指す。国道を真っ直ぐ行ったのか、温泉街の方をロケハンがてら回っていったのかはもう記憶にないが、線路でも2Km 以上ある距離、特に疲れることもなく黙々と歩いたことはよく覚えている。 大深沢橋に着くと、紅葉にはまだ少し早いものの、さすがに線内随一の撮影地だけあって、すでに三脚が列をなしていた。ここは国道の橋の歩道から、遙か下に小さな鉄橋を渡る線路が一瞬だけ見えるのだ。「一瞬」それは車両にして1両半くらい、前後はトンネル。しかし、なにしろ鳴子峡という渓谷に架かっている鉄橋だから、景観は実に素晴らしい。 ■数時間が過ぎて、通過時刻が近づく。列車は急に飛び出してくるから、レリーズを持ち、全神経を集中させて待ち構える。周囲の緊張が最高潮になった頃、汽笛と共にD51が飛び出してきた。まさに一瞬の出来事。気が付けば、D51は煙だけを残して次のトンネルへと姿を隠していた。 |