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2003年01月08日(水) 07時05分

「信頼回復」厳しい試練 カキ偽装調査結果発表河北新報

 「立ち入り検査を拒否された。偽装販売の疑いを持たない方が不自然だ」。韓国産カキの流通・販売実態の解明を進めてきた宮城県の最終調査結果が7日発表され、県は石巻市内の仲買業者を景品表示法違反の疑いで宮城県警に告発する方針を明らかにした。浅野史郎知事は「合格点は得られるだろう」と自賛したが、最終決着を捜査当局に委ねた上、韓国産カキ約100トンの行方も未解明のままで、「灰色決着」との批判も噴き出す。宮城産カキの全面取引停止を決めた量販店もあり、出直しを図るはずのシーズンが迷走する恐れも出てきた。



 関東地方で約100店舗を展開する茨城県の量販店は、宮城産カキを仕入れる仲買業者「住吉屋」(石巻市)が産地偽装の疑いが強いとして公表されたことを受け、全店舗で同社の商品を撤去した。

 「住吉屋は偽装の事実を認めていないようなので取引は中止ではなく休止だ。今後、情報収集に努める」と言うが、当面、宮城産カキの販売を取りやめる。

 東京都内の量販店も「信頼しきっていたので非常に残念。消費者に対する背信行為だ」と非難し、住吉屋との取引中止を決めた。



 宮城産カキの年間生産量は約5000トン。出荷シーズン(10月—3月)は折り返し点を過ぎたが、「まだ約2000トンのカキが水揚げを待っている」(宮城県漁連)。買い手側の拒否反応が広がれば、生産しても売れないという深刻な事態に陥ることが心配される。

 宮城県漁連の販売担当理事を務める大山守一松島町漁協組合長は「出荷の最盛期に調査結果が発表され、業界への打撃は計り知れないほど大きい。本音を言えば、発表はシーズンを外してもらいたかった」と恨めしそうだ。



 石巻市東部漁協の阿部和芳参事は、調査結果が昨年8月と今回の2度にわたって発表されたことを重視。「1回でうみを出し切ってから再スタートすべきだった。時間差のダブルパンチは痛すぎる」と生産現場への影響を憂慮する。

 消費者の受け止め方も複雑だ。仙台市消費者協会の小林達子会長は「最盛期に発表したことは、調査に懸ける熱意が感じられる」と県の姿勢を評価したが、「未解明分が残り、不信感はぬぐえない。ここまできても真相を隠そうとする業者には強い憤りを感じる」と話している。



◎100トンの販売先不明 全容解明程遠く



 【解説】韓国産カキの流通・販売の全容解明を目指した宮城県の最終調査結果が7日発表された。調査は昨年3月末から9カ月余りを費やしたが、依然として約100トンの販売先が不明で、全容解明には程遠い内容だ。

 県は新たに偽装の疑いが強まった石巻市の仲買2社を景品表示法違反の疑いで告発し、調査にけじめを付ける方針だが、ほかにも偽装の疑いが消えない「灰色業者」が複数いるとされ、「灰色決着」と言わざるを得ない。



 強制力を持たない行政の任意調査の限界も露呈した格好だが、それだけ暗部が根深く、偽装の手口が巧妙だったとも指摘できる。県と宮城県漁協組合連合会は「今シーズンの偽装はないと確信できる」と断言するが、偽装の逃げ道を残したことで、再発防止にも不安を残した。

 調査結果の発表が出荷シーズンの最盛期と重なったことから、今後の販売をどう乗り切るかの課題も突き付けた。シーズン終期まで約2000トンの生産が予定されており、販売業者と消費者が宮城のカキに拒否反応を示した場合、買い手不在となり、今度は生産者につけが回ってくる。



 宮城県漁連は「2000トンをどう売るかだ。全国の販売業者を回ってつなぎ留めたい」と早急に販売戦略の練り直しに着手するが、最盛期に抱え込んだ課題は重く、信頼回復に向け、まさに正念場を迎えている。(報道部・木村正祥)



宮城県産カキを産地偽装した疑いがあるとして新たな業者名が報告された宮城県輸入生かき混入防止対策専門部会=7日午後3時30分ごろ、宮城県庁

[河北新報 2003年01月08日](河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030108-00000011-khk-toh

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