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2003年01月08日(水) 19時05分

<医療過誤訴訟>鑑定医討論方式 東京地裁で初めて実施 毎日新聞

 患者の死亡をめぐる医療過誤訴訟で、3人の専門医が過失の有無などを法廷で議論する「カンファレンス(討論)方式」と呼ばれる鑑定が8日、東京地裁(前田順司裁判長)で初めて行われた。1年以上かかることも少なくない鑑定が、今回は依頼から2カ月で終了した形で、迅速化や集中審理の面では一定の成果が得られた。

 この日の審理は、争点整理などの弁論準備手続きで主に使われるラウンドテーブル(円卓)式の法廷で行われ、裁判官、代理人、鑑定医が同席した。東京大、東京医科歯科大、慶応大の循環器と麻酔の専門医3人が、あらかじめ裁判資料を検討して作成しておいた意見の要旨を争点ごとに述べた後、裁判官や代理人と質疑応答し、約3時間で終了した。

 今回の訴訟は、医師が患者の心疾患の可能性を調べずに手術し、血圧の急激な低下を招いたことに対する過失の有無が争点。医師が心疾患を疑うべきだったかどうかについては「考慮すべきだった」「予測は難しかった」「判断できない」と意見が分かれた。しかし質疑を重ねた結果、「心電図から疾患を読み取るのは困難だった」との認識では一致し、その後の容体の変化のとらえ方が違っていたことが明確になった。

 救命の可能性があったかどうかについては、鑑定医3人とも否定的な見解を示した。

 また、鑑定医1人に一方的に質問するだけの証人尋問と異なり、裁判官が3人に同時に意見を求めたり、鑑定医側から代理人に対し、治療経過などを質問した場面もあった。意見が一致しなかった部分も含め、この日の討議全体が鑑定結果として記録された。

 原告側代理人は終了後、カンファレンス方式について「すべての事案で妥当かどうかは分からないが、裁判所の取り組みは評価できる。医師の負担は1人で受けるよりも軽く、鑑定医選任の道は広がるだろう」と述べた。被告側代理人は「今の段階ではコメントできない」と話した。

 傍聴した医療関係者からは「議論が尽くされていないとも感じたが、公開の法廷で議論することで医療裁判が分かりやすくなる」との声も聞かれた。 【清水健二】


[毎日新聞1月8日] ( 2003-01-08-19:05 )

http://news.lycos.co.jp/society/story.html?q=08mainichiF0109m034&cat=2

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