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2002年11月02日(土) 00時00分

ジー・オー詐欺事件 苦悩の告発 摘発へ道 リストラ中高年、生活より良心 東京新聞

 再就職先が見つけにくい中高年を「詐欺会社」が希望に沿う待遇で受け入れた−。実体のない通信販売事業で、三万人を超える被害者を出した「ジー・オーグループ」(東京都港区)。社員として勤務した約千三百人は「怪しい会社」と思いながらも、生活のため会員獲得に励んだ。それが巨額詐欺事件に発展させる“原動力”になってしまった一方で、「これ以上被害者を出したくない」という一部の社員の思いが、摘発への突破口となった事件でもあった。(高橋治子)

 ジー・オーグループを解雇された後、ようやく二社から就職の内定をもらいながら、辞退した元社員(46)がいる。業務内容に不審を抱いたからだ。

 「求人チラシには怪しい会社がたくさん載っている。だが、一度入社したら、多少はおかしいと思っても生活のために働いてしまうだろう」

 ジー・オーのときがそうだった。

 一昨年十一月に入社し、経理担当になった。毎日一億−二億円の入金があるのに驚き、「何の売り上げか」と先輩に尋ねた。「長く勤めたければ、あまりかぎ回らないほうがいい」という答えが返ってきた。

 「通販でこれほど売り上げがあれば、もっと会社が有名になっているはず。かといって、犯罪という確証もない…」。元社員は悩んだ。

 同社は会員獲得のノルマが厳しく、社員が次々と辞めていくため年齢を問わず社員を採用した。

 名誉会長の大神源太被告(39)=組織犯罪処罰法違反、詐欺罪で起訴=の側近だった四十代の男性は「会社が倒産したり、有名企業をリストラされたりした人たちが集まり、子育てやマンションのローンを抱えて懸命に会員を獲得した。三百億円を超す金が集まるとは、大神会長も予想していなかったんじゃないか」と振り返る。

 経理担当の元社員は昨年夏、フィリピンの銀行買収に伴って現地に赴任したことから、グループの違法性を確信する。現地法人は営業停止処分を受けていたが、日本の会員にはこの事実を隠し、社債名目で金を集めていた。ほかの社員数人とともに警視庁やマスコミに内部資料を持ち込み、グループの実態を告発していった。

 元社員は「長い間、詐欺の片棒を担がされたことに憤りを感じた。自分にできることは、これ以上被害者を出さないことだった」と語った。

 大神被告と社員らを隔てる「良心」の一線がそこにあった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20021102/eve_____sya_____003.shtml

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