2002年03月25日(月) 00時00分
史上最大級の詐欺…八葉物流を強制捜査出資法違反容疑で一斉捜索（ZAKZAK）
「出資金が１年で倍になる」。夢のような利殖話をうたい文句にした健康食品販売「全国八葉物流」（沖縄県北谷町）に対する警察の強制捜査が、２５日朝から始まった＝写真。八葉グループを率いる田所収名誉会長（６８）は「マルチ商法を革命する」と豪語した。しかし、５００億円の負債を残し同社は１月末に破産。低金利時代に、同社が集めた金は全国の４万８０００人から１５００億円に上る。夢の利殖話は過去最大級の詐欺事件へ発展することになった。 警視庁と沖縄、愛媛両県警の合同捜査本部は２５日午前、八葉物流の商法が出資法違反（預かり金の禁止）に当たる疑いが強まったとして、本社や全国１３都道府県にある関係会社１４社など関連先を一斉に家宅捜索した。 捜査本部は八葉物流が破たんを予期しながら出資金を集めていた疑いもあるとみて、詐欺容疑でも追及する。同社など複数のグループ企業を率いる田所名誉会長ら幹部からの事情聴取も進める方針だ。 調べによると、八葉物流は平成１１年９月ごろから、カニの殻やミツバチの巣から採取したエキスを含む複数の健康食品販売を名目に出資金を集めた。会員には出資額などによって複数のランクがあり、約１５０万円を出資する代理店契約の場合、最初の出資金が１年後に倍になると勧誘。 会員が購入した健康食品は同社が委託販売すると説明していたが、実際には、ほとんど販売された形跡はなく、営業実態そのものがなかった疑いが強い。出資金だけが、ピラミッド型に形成された会員組織内を流れていたとみられる。 同社は総額約１５００億円を集めたとされるが、約４万人に５００億円の負債を残して破たん。東京地裁で今年１月末、破産宣告を受けた。全国２４都道県に弁護団が結成され、５府県で結成が検討されるなど被害は全国に及んでいる。 ◆田所名誉会長、最後まで言い逃れ 「わたしはマルチを研究し尽くした。マルチ革命を起こす」−。全国八葉物流などグループ企業６社を率いる田所名誉会長は、こう豪語、「合法性」を強調して約４万８０００人の会員から総額１５００億円をかき集めていた。 しかし、関係者は「ピラミッド型の会員組織内を資金が還流するだけのマネーゲームだった」と指摘。 田所会長は八葉グループの別の幹部とともに、平成６年２月に健康補助食品の販売をめぐって、違法な販売活動をしたとして千葉県警に訪販法違反の疑いで逮捕された。その反省からか、八葉物流では契約時には特定商取引法（訪販法から改正）の禁止行為を詳細に記した契約書を会員に渡した。会員が勧誘に当たる際にも契約書を渡すことを徹底させた。 田所会長は会員を集めた講演会で「いい人、好きな人、大事な人、お世話になった人、一生付き合っていきたい人に八葉を勧めなさい」と熱弁を振るい、新たな会員獲得を勧めた。 「わたしはマルチを研究し尽くした。経済革命、マルチ革命を起こす。このプログラムを組めるのはわたししかいない」と強い自負をみせた。時に涙ぐみながら語る会長の言葉には「カリスマ的な指導力があった」と話す会員もいる。 会社の活動規模が拡大するにつれ、全国１４カ所に設置された「ブランチ」と呼ばれる関係会社を中心に連日勧誘セミナーが開催され、会員は加速度的に拡大。幹部会員は集まった投資家に「八葉はマルチ商法です」と言い切った。「怪しい商売じゃないのか」と不安を抱く投資家に「商品が動いているから（違法な）ねずみ講じゃない」と強調、営業実態がほとんどないことを偽装した。 ZAKZAK 2002/03/25
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_03/3t2002032509.html
|