物 語
■時と場所 1820年頃のスペイン、セビリャ
■登場人物
カルメン(ジプシーの女)
ドン・ホセ(竜騎兵の伍長)
エスカミーリョ(闘牛士)
ミカエラ(ホセの許婚)
ズニガ(衛兵隊長)
ダンカイロ、レメンダード(密輸業者)
フラスキータ、メルセデス(ジプシー女)
モラーレス(伍長)
■第1幕 セビリャのタバコ工場前の広場
 前半が華々しい闘牛士の入場と闘牛士の歌、後半はカルメンの悲劇を暗示する有名な前奏曲に続いて幕が開く。故郷に母と許婚を残してきたドン・ホセはセビリャの竜騎兵の伍長を任じられている。ある日許婚のミカエラがホセに会いに来るが、伍長モラーレスに交替になれば会えると言われていったんその場を去る。遠くでラッパが鳴り、子供たちにまとわりつかれながら、ドン・ホセら交替の衛兵がやってくる。タバコ工場でも昼休みの鐘がなり、女工たちが外に出てくる。その中の一人、ひときわ目を引くカルメンは、言い寄る他の男達には見向きもせず、逆に自分に無関心なホセに興味を示し、ハバネラ〈恋は野の鳥〉を歌って彼に花を投げつける。再びミカエラが登場してホセと再会、母の近況を伝え聞いたホセは、ミカエラと二人でしばし故郷を想う。しばらくして工場で喧嘩騒ぎが起こる。騒ぎの張本人カルメンは捕らえられ、隊長スニーガの指示でホセがカルメンを縛りあげる。しかしカルメンはセギディーリャ〈セビリャの砦の近くに〉を歌って色仕掛けでホセに迫り、誘惑に負けたホセはカルメンを逃がしてしまう。
■第2幕 セビリャの街はずれ、砦近くの居酒屋「リーリャス・パスティア」
 ホセが第2幕で登場する場面に歌う〈アルカラの竜騎兵〉のメロディによる間奏曲に続いて、酒場ではカルメンがフラスキータとメルセデスとともに〈ジプシーの歌〉を踊り歌う。続いて人気闘牛士エスカミーリョが登場、大歓迎の中で闘牛士の歌〈諸君の乾杯を喜んで受けよう〉を歌い、カルメンに気のあるそぶりを見せながら颯爽と去って行く。その後カルメンが密輸業者のダンカイロ、レメンダードとよからぬ相談をしているところへ、カルメンを逃がしたために牢に入れられていたが、今日やっと釈放されたホセがやって来た。カルメンは喜んでカスタネットを手に歌い始めるが、帰営のラッパが聞こえてホセが帰ろうとするので、カルメンは怒り出してしまう。ホセは〈おまえが投げたこの花は〉を歌って、カルメンへの深い思いを伝えるが、カルメンはそれなら兵隊を辞めて一緒にジプシーの生活をしようと迫る。ホセが悩んでいると、隊長のスニーガがホセの帰営を促しにやってくるが、ホセとスニーガは口論となってしまう。密輸業者たちの助けを借りてスニーガを追い出してしまったホセは、ついにカルメンたちの仲間に加わる決心をする。
■第3幕 寂しい山の中、密輸業者たちの根城
ハープに導かれてフルートが奏でる美しい間奏曲に続いて、ホルンのエコーが響く寂しい山中の場面となる。不気味な行進曲風の旋律に乗って、ダンカイロ、フラスキータ、メルセデス、カルメン、ホセ、レメンダードの六重唱と合唱が密輸業者の心得を歌う。そしてフラスキータとメルセデス、そしてカルメンがカードで未来を占うが、カルメンだけは何度やっても「死」と占いに出てしまう。ホセを見張りに残して他の皆が出かけているとき、ミカエラがホセを探しに現れ、〈何を恐れることがありましょう〉と恋人を取り戻したい願いを歌う。ミカエラを敵だと勘違いしたホセが発砲したので、ミカエラは岩陰に隠れるが、そこにカルメンに会うためにやって来たエスカミーリョが登場。ホセはエスカミーリョが自分の恋敵だと知るや決闘を挑み、あわや彼を突き殺そうとするが、そこへカルメンたちが戻って仲裁に入り、エスカミーリョは救われる。カルメンたちを闘牛に招待する旨を告げてエスカミーリョが立ち去ると、ミカエラが出てきてホセに母の危篤を伝える。ホセは後ろ髪を引かれる思いながらも、ミカエラと山を下りる。
■第4幕 セビリャの闘牛場前の広場
スペイン情緒満載の間奏曲〈アラゴネーズ〉に続いて幕が開く。今日は闘牛の日、闘牛場前の広場では華やいだ雰囲気がみなぎり、オレンジや酒などを売る声が響く。「来たぞ、来たぞ」という子供たちの合唱に続き、大歓声の中、闘牛士たちが入場してくる。トリはカルメンを伴って入場してきたエスカミーリョ、お祭り騒ぎは頂点に達する。フラスキータとメルセデスは、ホセが来ていることをカルメンに忠告するが、カルメンは意に介さず、逆に話をつけてやろうという。皆が入場し、カルメンが一人になると物陰からホセが現れ、もう一度やり直そう、おまえのためなら何でもするとカルメンに懇願する。しかし、カルメンは固く拒絶するばかりか、聞こえてくる闘牛場の歓声を耳にして今ではエスカミーリョを愛していると宣言し、ホセからもらった指輪まで投げつけてしまう。嫉妬に狂ったホセは、持っていた短刀でカルメンを突き刺し、倒れたカルメンの上に身をあずけて号泣するのであった。


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