Pink! Pink! Pink!(2)


赤い長襦袢 人妻乱れ床

2002年、製作・配給:新東宝映画
監督:深町章、脚本:岡輝男
出演:若宮弥咲、岡田智宏、なかみつせいじ、相沢知美、水原香菜恵

昭和22年、夏。戦火を免れた東京郊外のさる屋敷にすむヒロイン(若宮弥咲)のもとに、奇妙な手紙が届く。「奥様のことは何でも存じております。奥様が、稀代の完全犯罪者であることも。」手紙の差出人は、彼女をずっと遠眼鏡で覗き続けて来た若者(岡田智宏)。彼の手紙を読み進める彼女の中で、これまでの過去がよみがえる。

「私(わたくし)」「奥様」「でございます」丁寧といえば丁寧、ねっとりした文体(笑)の一人称でつむぎだされるミステリーといえば、江戸川乱歩。屋根裏から遠眼鏡で女を見つめ続ける男というキャラクターなんてまさに乱歩っぽい。そういうわけで、正統派乱歩調のサスペンス。
残念ながら奥様が奥様っぽく見えないとか、語り手でもある観察者の青年(岡田智宏)のナレーションに今ひとついやらしさが足りないとか(声って重要だと思うのだ)、それに上映時間が一時間もないのに濃厚な濡れ場が数回、ってな状態なので、肝心のサスペンスとして盛り上がる部分はみなナレーションで済まされてしまっている。一番重要なオチの部分でも、「観察者」であり続けた青年がついに自らヒロインの人生に深く絡んでくる…というほどの結末ではなく、なんとなく物足りなさが残る。
でも、和装での絡みは雰囲気があってとてもエロティックだったし、結末部分、畳の上に転がる遠眼鏡、それを跨いで越えてゆくヒロインの足袋を履いた脚…という描写も、とても余韻があって良かった。見ているうちは退屈しなかったし、どちらかというと、好きな作品かな。(2003.8.31.)


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美咲レイラ 巨乳FUCK

2001年、製作:ナベシネマ、配給:オーピー映画
監督:渡邊元嗣、脚本:山崎浩治
出演:美咲レイラ、水原香菜恵、林由美香、今野元志、ささきまこと、十日市秀悦

主人公は大人のおもちゃ開発会社に勤めるバリバリのキャリアウーマン(美咲レイラ)。仕事一直線でオトコなど関心がないといった振る舞いをしてきたのに、ある雷雨の晩、一人Hしている最中に雷に感応し、それまで抑えてきた自分自身のエロエロな別人格に体をのっとられる。それまでとはガラリと違った態度で会社中の男とセックスし(といっても2,3名しかいないんだけど)、処女の後輩(水原香菜恵)の初体験までお膳立てしてやり、イキイキと遊びまくるヒロイン@別人格。しかしもともとの人格が自分の体を取り戻そうと企てはじめ、ヒロインの中で二人の人格が闘い始める。

なんだか叙情とユーモアに欠けるタイトルだこと。映画自体はコメディなんだから、もうちょっと洒落た題名にしたって良かろうってなもんなのに。
他愛ないコメディとしてそれなりに楽しく、退屈せず見られる映画。なんでこんな男と結ばれるのだ!?(笑)という容貌上の謎(ピンク的にはこうでなくちゃならないのかしらん)はあるし、最後の最後でものすごいご都合主義なんだけど、そんなこと言ってるのも野暮だし、まあいいんじゃないかしら。
美咲レイラって演技が巧いとは思わないけど、変身後の変貌ぶりはサマになっていた。いや、ただ髪形と化粧が変わっただけって気も…するけど…。声もハキハキして(ちょっと作り過ぎかもしれないけど)とても聞き心地よく好感がもてた。タイトルの通り、俯いて手でちょっと持ち上げると自分の胸を自分で舐められるとゆー(…)巨乳。肩が懲りそうよねーとか形がちょっと、とか嫉妬交じりに言ってる場合でなく、単純にそのサイズはうらやましいです。でも、一番印象に残ったのは脇にいる林由美香。プリティ〜!会社で同僚とセックスした後に、面倒くさそうに鼻筋を掻いているところなんか、絶妙です。(2003.9.13.)


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姉妹ナース 桃色診察室

2003年、製作・配給:新東宝映画
監督・脚本:佐藤吏
出演:佐々木ユメカ、佐々木日記、紺野美和、松田信行、本多菊次朗、なかみつせいじ、新納敏正


智香子(佐々木ユメカ)は総合病院で看護婦をしている。永く付き合っていた彼氏(松田信行)に最近プロポーズされたが、いまひとつ結婚に踏み切れないでいる。彼女が気に病んでいるのは、昔家族を捨てて出ていった父親のこと。たとえ結婚したとしても、父親が突然出ていったように、突然愛が失われることだってあるかもしれない。そう考えるとどうしても臆病になってしまい、結婚に踏み出せないのだった。智香子のアパートに居候している、ちょっとルーズな妹のワカメ(佐々木日記)もまた看護婦である。個人医院に勤めている彼女は、妻子持ちの院長(本多菊次朗)ときままな不倫関係にある。最近、子供が産まれたために、彼の頭は家庭のことでいっぱい。わかっちゃいたけど面白くないし、寂しさを感じている。
生真面目な姉はそんな妹のことを心配し、妹もまた、姉の悩みを密かに気遣っているのだが。

目当てはもちろん、佐々木姉妹の共演シーン!実際の二人もきっとこんな感じなのかな、と思ってしまうくらいに間合いがナチュラル。ものぐさにティッシュをゴミ箱に投げ入れる(そして失敗する)妹を呆れて眺める姉とか、思いに沈んでいる姉にビールを差し出す妹とか、どれもほほえましく眺めてしまった。こうしてみると、本当にユメカさん、お姉ちゃんなんだなぁ(しみじみ)。これまで私の観た映画では、どっちかというとやんちゃな役柄が多かったもんな・・・。
映画自体は、生真面目で堅実な姉と、天真爛漫で甘えん坊な妹、それぞれのラブストーリーを丁寧に真面目に描いた作品。これもし西田直子脚本だったら、もっとイヤな感じの、姉妹間の確執を露わに描くとげとげした内容(→誉め言葉)になったんじゃないかとか思うのだけど、この映画は、とても爽やかで心地よく、時にちょっとファンタジックな瞬間さえある青春ラブストーリーなのだった。なにより、出てくる人がみんないい人(ダメダメな人はいるけど悪人ではない)で、自分なりに相手(もしくは自分自身)に誠実であろうとしている。そのせいか、観ていてほんわかと気持ちが良かった。
ドラマチックかつダイナミックな姉妹「競演」作とは言えないけれど(もしかして、そういうのはこれから!?)、ささやかな小品として私はとても気に入った。

本多菊次朗氏は妹の不倫相手。生まれたばかりの子供に首ったけで「パパでちゅよー」と赤ちゃん語で喋ったりしてます。映画の終盤、「誕生日」というくだりでの佐々木日記とのやりとりがなんとも言えません。ダメな男だけどどうも憎めなかったのは、このシーンにも見えるようなキャラクターの不器用さ(と演じているのが本多氏だから)のせいだったかもしれない。
あ、それから松田信行って・・・このひと劇団天然工房の人だと思うんだけど・・・TBSのアナウンサーになんとなく似てませんか。気のせい?(2003.10.5.新宿国際名画座)


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