帰ってきた紙工作その3

 さて、実際の工作に入るわけですがほとんどの場合僕は設計しません。ですからそっち方面の技術は書けません(汗)。その辺をご了承下さい。それとボール紙にしろ、段ボールにしろ曲面の整形にはあまり向きません。直線の多いロボット向けということです。

 

その3・実践編(その1)

 

1.基本編

 前回書いたとおり、ボール紙は2重に重ねて使います。パーツを切り出してから2重にするか、あらかじめ2重に貼り重ねたボール紙から切り出すかはケースバイケースということで・・・。その日の作業の最後にアウトラインで切り出したパーツを貼り重ねて寝るとか、他の作業をするとかで効率よく作業ができます(「貴様の作り方のどこが効率いいんだ?」・・というツッコミは話が進まないので却下:笑)。


2.弱点を知る

 ボール紙の最大の弱点は剥がれやすいことです。ボール紙は薄い紙を何枚も重ねて圧着したような構造のため、ちょっとほぐすと端の方から剥がれてきます。ボール紙に何かを接着した場合は、力が掛かると下地のボール紙が剥離することもあります。コレを防ぐ一番手っ取り早いのは、FRPで固めてしまうことですが、それじゃ紙工作になりませんわね。ということで、FRPの樹脂の代わりに木工ボンドで固めます。縁にはすべて木工ボンドを塗ります。少し水で薄めて刷毛で全面塗りをしてしまってもかまいません。
 段ボールの欠点は曲げにくい、縁の処理が面倒・・です。特に縁はむき出しだといかにも段ボールの張りぼてという感じで、安っぽく見えてしまいます。これを防ぐのには、切り口に木工ボンドを充填。ボール紙を貼る。などの手がありますが、一番いいのは、そもそも切り口が露出しないように使う・・ということですね(笑)。
 なお、水に弱いのはどちらも同じ。よって身体に当たる部分は防水対策をしないと1回の出撃で溶けます。マスクも通気が悪い場合は汗の蒸気で内側からへたってくるので、内側にも塗装するとかの対策をすべきです。

3.着ぐるみは顔が命

 なにしろボール紙で作るのは予算がかかりません。よって理屈はともかく作って見るのが一番です。
 どこから手を着けるかとなると、やはり頭から作る場合が多いです。一番目立つ場所なので、ココをきっちり作っておくと印象が変わること、最近のロボットは頭が小さくデザインされてることが多いので、頭が他のパーツを作る場合の基準スケールになる場合が多いからです。
 問題になるのは、バランスです。頭があって、腕2本、脚2本だと人型に見えますけど、実は人間とはかけ離れたプロポーションの場合が多いですから。平べったい頭とか、前後に長い頭とかね・・・
 とりあえずボール紙で帯を作って頭に巻きます。僕は真っ先にここから作ります。帯は大概2cm巾で、あらかじめ大量に切り出して持ってます。次に額から頭頂部を通って後頭部へのラインとを貼ります。で、交差する横のラインを貼ります。起点は耳のちょっと前あたりになると思います。最近はゆるめに作って内側にウレタンを貼っています(汗対策もかねて)。これでベースはできました。通常はこれだけで斜めのラインは入れなくて大丈夫だと思います。
 次に額の部分と耳の上の部分にスペーサーを入れます。コレは何を作るかによってバランスが変わってきます。スペーサーを入れないで作るとどうなるかというと、通常ではかぶれなくなります。アファームドがその良い例(汗)。アファームドの頭はできるだけ小さく作ろうと思っていたので、クリアランスがほとんどありません。鼻のラインまで自分からの型取りだったので、かぶるときは前後に分割しなければならない訳です。
 後は目の位置さえしっかり決めれば自ずとバランスは見えてくると思います。


制作中のアファームドヘッド(左)と第1時改装後のヘッドパーツを下方から(右)。
いかにいいかげんに作ってるかバレバレだな(汗)



4.ナイスバディ(死語)になりたい

 胴体を作るには構造が二つあります。ようは「一体型」か「セパレート型」かということです。一体型はそのものズバリ箱です。セパレート型は先に背中から肩を装着した後で胸パーツを取り付けるというのが多いようです。ちなみに僕が作ったのはほとんど一体型で(意外かもしれないがアファームドも一体型)、強度が出しやすいけど輸送が大変になります。フェイはセパレートタイプで、サスペンダーとVコンバーターがが一体化していて、サスペンダーに肩アーマーと胸アーマーを取り付けるようになっています。人間体型にフィットした着ぐるみならセパレートでも作りやすいですが、出渕系のラインのように胸が前に張り出しているデザインだとか、襟周りから胸のラインがが一体化してるデザインだと作りづらいですね。どちらにしろ強度が要るので、ベースは段ボールかウレタンで作ることになります(余裕が有ればウレタンの方がいいと思う)。アファームド作成の際は、Vコンバーターにサターンを使うのが前提だったので背中から作り始めました。合わせて胸を切り出します。で、前後のパーツを繋ぐ肩紐の部分を段ボールで作りました。胸は段ボールのベースの上にボール紙で作った胸板を組み立てています。段ボールの切り口が見えないように、縁にかかる部分は裏まで回してカバーしています。一番最初に作ったときはへこんでひしゃげてしまったので、改装のときに中にスポンジを仕込みました。別に段ボールで桁を入れてもかまわないんですが。


アファームドの胸の断面図。土台は段ボールの平面紙で、胸板はボール紙製。縁は裏まで回して切り口が見えないように接着。変形防止にスポンジが仕込んである。



 ライデンはほとんどが段ボールです。目の積んだ段ボールでも切り口は見えてしまいます。しかもボール紙を上に貼るには面積がでかすぎます。な訳で、段ボール同士を接着する際に、片方の段ボールに厚み分の切り込みを入れて表面を残して波ボール紙ごと取り除いてしまい、そこに接着するという手を使いました。手間はかかりますが、大きさを合わせて化粧紙を貼るよりは楽だと思っています。後は寝る前に木工ボンドを充填しておきます。3回くらい繰り返せば目立たないくらい穴は埋まります。


図で描くとこんな感じ。慣れると意外と簡単。



5.「段ボールのしっかりとした土台の上にボール紙の繊細な味わいが重なってもう(以下略)」(←栗田声で読むこと)

 二重に貼っても大きな面があればボール紙は潰れます。これはもう宿命なので文句言っても始まりません。よってパーツの内側には補強を入れておいた方が無難です。段ボールの切れ端でかまわないので、内側に桁代わりに貼っておけばかなり丈夫になります。鋭角なエッジを出した場合は入れないとまず輸送1回でへたります。アファームドの頭は接合面はバルサを入れてあります(蝶番を付けるため)側頭部には内側に段ボールが入っています。OMG版アファームドは腕のトンファーはボール紙一重ですが、内側に竹の節のように段ボールが入っています。ただし。入れすぎに注意。フェイの右腕のハート型ランチャーは、全面ボール紙二重(一部三重)、内部は段ボールの桁だらけ・・・・おかげで紙製と思えないほど重いです(汗)。
 強度はあるけど見栄えの悪くなる段ボールと、綺麗につくれるけど強度の無い工作用紙をうまく組み合わせて使いましょう。


つづく・・・・