厚藤四郎(本体)

 息子用のコスプレ衣装を製作するにあたり、本体(ようするに刀)をどうしようか考えた。オモチャの刀を加工することも考えたのだが、この手のオモチャは基本的にPEとPP製だし、PEとPPには塗料も接着剤も乗らない。さすがにそのままではモロオモチャでナニだし、長さ的にも脇差しに当たる刀なので、ちょっと合わない。模造刀を探してみたが、一発ネタにあまり金額の張る模造刀買うのもなんだし(そもそも子供に無理矢理やらせようという魂胆なので、拒否られる可能性もあるしな)。自作も考えたけど、鞘の内刳りとか結構面倒くさい。いろいろ考えた末に、観光地に売ってる木製の刀を加工することにした。神社の下の土産物屋とかでは御守刀と称して売ってるやつ。これが鶴ヶ城とかだと「白虎刀」とかになってたな。神社の社名を消して加工とか罰当たりそうだけど、外の売店で売ってるものだから良いよな?




 実物を件分してみる。柄、鞘、刀身、鍔全部木製。鍔以外は丸木で、鍔だけは合板。刀身は、安全を考慮してかただの木の板で、刃も鎬もついてない。ただ棟は庵棟(三角形にとがった棟)になってる。なのでぱっと見棟の方が刃に見えたりもする、、、、、逆刃刀(ぼそり)。刀身には僅かな反がついていて猪首みたいな短い切っ先が付いてる。柄に刀身を差し込んでクギを打って固定した後クギの頭を切り落としているらしい。兄の長刀は刀身が結構ガタついて、クギを抜くと刀身が抜けそうだが、今回買った短刀は鍔を固定するボンドで刀身がくっついて動かない。鍔はいわゆる「鍔形」の合板でボンドで柄に固定されている。




 寸法を計ってみると、実物に比べて刃長は少々長いが、刃の重ね(厚み)は5mmと半分しか無い(厚藤四郎はその名の通り分厚くて、根本の重ねが1cmくらいある特殊な短刀なのです)。そこまで加工してる余裕は無いので、これで我慢しよう。刀身と鞘を切り詰めて少し短めにして、鍔を削って、柄にはエイの革、、、を巻きたいけど見つかるだろうか?。後はハバキをつければそれらしく見えるんじゃなかろうか、、、、。

 全長を詰めたいので、とりあえず鞘の刳りがどれくらいあるか、以前兄に同じ刀で長いのを買って上げたので、刀身を突っ込んでみた。内刳りはほとんど刀身分ぴったりの長さらしい。なので、まずは鞘を所定の長さ分切ってみる。それから刀身を切り詰めて収めてみたら、だいたいぴったりはまった。機械加工だから割としっかりしてるのな。鞘の先端部分も内刳りから先が結構長目に取られていたので、こっちも切り詰める。これで脇差しサイズだったのが短刀サイズになった。


 次に刀身の加工。まず全体の形を短刀の形に整形する。普通の鎬造りの形のまま短くすると、ドスにしか見えない(笑)。短刀は無反か逆反(棟のラインが前下がり)になってるので、刀身前半の棟を削って反りを無くす。刃は根本から切っ先にかけて徐々に狭くなっていくのだけど、そこまで削ると鞘の中でガタつきそうなので、先端1/3くらいにしておく。板のままでは刀に見えないので、少しだけ刃付けする。短刀は基本的に平造りなのだけど、5mmの板でこれを再現すると薄くなりすぎて折れやすくなるし、やっぱり鞘の中でガタ付くので、ちょっとだけ刃の方を薄く削った。刃はとがらせずに数mm平に残してある。ちょっと削るだけでもちゃんと刀に見えてくるので、見栄えが良いところまで削れいば良い。鞘にしっかり収まるように、根本部分は2cmくらい削らずにそのまま残してハバキの役目をさせる。
 鍔はノコギリで周囲を切り落とし、ヤスリで削って整形する。合口にしようかと思ったけど、イラスト見ると小さな小判型の鍔になってるようなので、少しだけ残しておく。縁は丸く削っておく。合板なので塗装しても木目が出やすくて金属っぽく見えないので、形ができたら木工ボンドを塗って固めておく。金具のディーティールを付けるため柄の鍔の根本側に4mmくらいのボール紙を二巻。柄頭にも20mm幅のボール紙を二巻する。固まってから柄頭はボール紙ごと丸く削って木工ボンドで固めておく。柄の真ん中が凹んだ形か、柄頭の方が細くなるように削りたかったんだけど、そうすると柄巻が面倒くさくなるので今回はそのまま。鞘の栗形(下げ緒を通す部分)は、木から削ると面倒なので、ボール紙の積層で作った。ちょっと大きめになってしまった。もう少し小さくて良かったな。




 鞘の塗装は新漆塗り。時間が無いので下地もしないで塗ったもんで、生地と木目がでちゃって消すのに苦労するorz。手間を惜しんじゃダメだな、、、。仕方無いので、塗っては400番ペーパーで磨きを繰り返す。4回くらい塗り重ねたらだいぶマシになった。刃の方は、柄巻をする柄の握り部分のみマスキングして全体にサーフェーサー吹。刀身にも吹き付けた。乾燥したら刀身にアルミテープを貼る。ピカピカしすぎて、舞台小道具みたいで安っぽいのが難点だなぁ、、、。スモークブラックでもスプレーすると雰囲気出るかねぇ。全体に貼ったら、ハバキ部分にもう一巻きアルミテープを巻いたら、鞘にちょうど固定されるサイズになった。ハバキを残して刀身をマスキングして、真鍮カラーのスプレーでハバキ、鍔、柄頭を塗装する。乾燥したら今度はハバキをマスキングして、黒鉄色で鍔と柄頭を塗装。薄い塗装を何度か重ねて、真鍮の金具を黒染したっぽく見えるようにしてみた。柄には鮫革(エイの革)を巻きたかったけど、なかなか入手できないし、700円の刀にそこまでするのもどうかと思ったので、一番目の粗い紙やすり(40番)にアイボリーのスプレーで塗装してみた。サイズを合わせようと事務用ハサミで切ったら刃がガタガタになってしまったorz、、、(超硬質のアルミナの粒々が貼ってあるから)切るときは金物も切れる工業用の強力ハサミで切りましょう。紙やすりは台紙を水で湿らせると型が付けやすくなります。木工ボンドで貼り付け。下げ緒は金色という解釈が多いみたいだけど、イラストを見ると薄い黄色っぽいし、緑っぽくも見える。手に入る平打ちの紐のカラーバリエーションが少なくてどうしょうも無いので、ベージュで代用。鞘の先端には輪になった草の象眼っぽいのがあるんだけど、そこまでやってる時間が無いので今回は省略。柄に太鼓鋲を打って一通りできあがり。




 鋲を打つ前の写真

 、、、、それっぽく出来た、、、、、とは思うんだが(抜かなきゃね)、誤算が一つ。栗形を付ける際に、下げ緒で吊るとちょうどバランスを取れる位置にしたのだけど、柄に紙やすりを巻いて鋲を打ったら、ちょっと重くなったらしくて、柄が下向くようになってしまった。刀身に板の鉛でも貼るしか無いかなか、、、、。
 あと、製作途中で真鍮カラーの上に黒鉄色塗ったら、黒鉄色のスプレーの調子が悪いのか、溶剤がダマになって下地の真鍮カラーが溶けた。おかげでだいぶムラになってしまった。塗り直すの面倒くさいなぁ、、、。