第18回ピンク大賞(2006年4月15日、池袋新文芸坐)に行ってきました。


2006年4月15日深夜、2005年度ピンク映画ベストテン表彰式&作品上映イベントに行って来ました。

ピンク大賞といえば、毎年プレゼンターとして林由美香嬢&神戸顕一氏コンビ+池島ゆたか監督が舞台にあがるのが恒例でしたが、由美香さんが昨年亡くなったこともあり、今回舞台にあがったのは総合司会の松島信行氏と池島監督、それに新人の日高ゆりあちゃん。ああ、いつもと違う。そういう少し寂しい始まりでした。池島監督は開始時すでにかなりのお酒をきこしめしていたようで、かなり酔っていた様子。それも今までにはないことでした。

いつものように受賞イベントの後は、ベストテンに入賞した作品5本が上映。今回の上映は、(ちょっと順不同)
「ミスピーチ 巨乳は桃の甘み」(5位)
「欲情ヒッチハイク 求めた人妻」(4位)
「わいせつステージ 何度もつっこんで」(2位)
「人妻を濡らす蛇 SM至極編」(9位)
「援助交際物語 したがるオンナたち」(1位)
今回の5本は、私は正直「うーん」でした。どれも面白かったのですが、飛びぬけたものがなかったのです。とくにそういう意味で残念だったのは1位と2位。私はいまおか監督の作品はそんなに好きではないんだけど、でも「なんかすごい」のはわかります。でも今回の「援助交際物語」はなぁ・・・。面白くて確かに他の作品と比べたら1位になるのはわかるけど、でも、彼の作品の中では1位になるような作品じゃないだろ?って感じも(PGのインタビューで「7位くらいの作品」と監督自身が言っていたのは理解できます)。2位の「わいせつステージ」も、後藤大輔ファンな私にとっては一番の注目作品だったのだけど、「ううーん・・・こういう作品か」でした。面白いんだけどねぇ・・・でもこれが2位ってのはねえ(あの前作かつ傑作「痴漢義父」は5位だったんだよなあ)。結局この5本で一番面白かったのは池島監督の「人妻を濡らす蛇」だった私でした。(それってどうなのよ)わかりやすくて非常によろしい。エロエロだったし、かつ、美しかったし。役者もよかったしね。
私は2005年はピンク鑑賞を大いにサボったのですが、もしかして、昨年はちょっと不作の年だったのかな、そんな気もしました。

以下は私がイベントを見ながら残したメモです。文章にしようかと思ったんですが、なかなか整理できなかったので、こんな形のまま載せてみることにしました。


<開始時>
池島監督、かなり酔っ払ってます…(ろれつが回ってない感じ)。
日高ゆりあを由美香の再来と絶賛。舞台袖ではしっかと抱き合ってみせる芝居アリ。


<新人女優賞>
みな挨拶が真摯で真面目でした。

・夏目今日子
黒いワンピースがシックでとてもきれい。挨拶も堂々と落ち着いていて貫禄あり。
(のちに上映された「欲情ヒッチハイク 求めた人妻」では軽妙なコメディエンヌぶりで、ちょっとギャップにびっくり)

・平沢里菜子
ミニのパンツ姿でものすごい美脚…ホレボレしました。信者のファン(奴隷?笑)から花束を渡される。基本クールな表情なのに、時々みせる恥ずかしそうな笑いが可愛かった。

・池田こずえ
挨拶でちょっとつまりながらもはきはきしていて、なんだか初々しかったです。彼女にも花束贈呈あり。

・矢藤あき
襟のかたちがとてもすてきなジャケット。「向上心をもってすてきな女優さんになります!」とコメント。キラキラした可愛い女優さんでした。


<技術賞>
・かとうキーチ(吉行由実監督作品の音楽など)
「普段は歌ものの作曲をしていたので、映画の音楽というものをだいぶ勉強した。吉行監督のスウィートな部分と似たようなところが自分の中にもあったのかもしれない。そこを監督にうまく引き出してもらったように思う」


<男優賞>
全員なぜか小芝居あり。

・松浦祐也
ブリーフいっちょ、裸足で登場。(なんか舞台上でハミチンしてましたがこの子ったら)出てくるときに妙な小芝居あり。「ぼくを育ててくれたネコのタマに感謝したいです!」。

・牧村耕次
昨年に引き続いての男優賞。「昨年は『遺作を増やす』とコメントしたけども、あとで由美香に『もっと謙虚じゃなきゃダメよ』と言われた」「由美香、謙虚はもうこれくらいでいいだろ?」そしてハミチンな松浦祐也に「こんな奴が後輩なんてな!(笑)」

・吉岡睦雄
「えーーーー」「えーーーとーーー」「言おうとすればどもるいじめられっこでして」「勝ち組か負け組かと問われれば、引き分けを目指したいわけでして」「今ここにいる今日の自分はむしろ歓び組なわけでして」


<女優賞>
・向夏(こなつ)
ブルーのドレスがステキ。ホントに小柄で、その夜一番のキューティ天使ぶり。言葉少なだけども、「びっくりしてます」と嬉しそう。

・華沢レモン
夜会まきの髪がゴージャス。ピンクのワンピース姿。ちょっとアルコール入り気味。池島監督の「人妻を濡らす蛇 SM至極編」の裏話として、「本当に泣きました」とのこと。

<脚本賞>
・小松公典
ごっついこわもてなお兄さん(笑)。「来週子供が生まれるのでいい記念です」とすごく嬉しそう。


<監督賞>
・竹洞哲也
ニット帽かぶっての登場。出演陣より「帽子とってください!」(レモンちゃん)「次もお願いします!」(松浦祐也)と茶々が入る。


<作品賞>
・佐藤啓子女史
一位のいまおかしんじ監督の代理で登場。「PGでは由美香ちゃんの一周忌だなとも思います」ちょい酔い気味で飛ばし気味な池島ゆたかに「うるさいよ!」と一喝。「いまおかは来年の一位になる作品を撮ってます」。それに対して池島監督「オレのはどうなのよ!」。佐藤女史「池ちゃんもうやめなさい」。なんか息が合っていて面白かったです。

<その他ゲストや出演陣再登場>
・向夏(一位「援助交際物語 したがるオンナたち」)
「思いいれのある作品です」「何回観ても違った風にとらえられると思う」

・伊藤猛(同)
「毎回、どんどん扱いがひどくなってくる・・・」
前回(「熟女・発情 たましゃぶり」)ではロンゲで鳩レースを熱く語る郵便局員→今回はドライヤーでヒロインを責めるマニアックな客その1

・川瀬陽太(同)
伊藤猛に引き続いて「ヨゴレその2です」「何の思い入れもなくやりました」「バツゲームかと思った」
前回(「たましゃぶり」)ではガングロでサーファーな郵便局員→今回はドライヤーでヒロインを責めるマニアックな客その2

・吉岡睦雄(同)
「ボロボロです」

そのほか、野上正義、なかみつせいじ、後藤大輔、竹本泰史(相変わらずカッコええのう)、本田准一、持田さつき、国沢実、森山茂雄、高原秀和、河村栞、佐藤寿保(!!)など次々登場。


<特別賞>
・林由美香
やっぱりこの夜は林由美香の追悼のためのイベントだったのかもしれない。そう思えるような時間でした。
亡くなった由美香さんの代理で舞台にあがったのは、彼女の母上。「涙を見せるような人間じゃないんですよ」「私も人の親なんですね」最初にクールにコメントしながらも、徐々に、親としての思いを言葉詰まらせながら語られていたのに胸を突かれました。もしかしたら、娘の映画を心から愛していた数多くのファンを目の当たりにしたからこそ、話さずにはいられなかったのかも。
池島監督にお酒が入り気味だったのは、やっぱりもしかしたらこの特別賞が控えていたからかな、とも思ったのは、表彰途中でついに彼が絶句して涙を流したときでした。

イベント最後のコメントでも、主宰の林田義行氏が由美香さんのことに触れ、「胸がいっぱいで」と語りました。



林由美香という人のあまりに大きな不在を感じさせられた今回の受賞イベントでした。実は今回のイベントをメモした私の手帳には、前年(2004年度)のイベントのメモもあるのです(近いうちにアップしたい…)。そこには、イベント途中で絶妙なコメントをさしはさむ彼女の様子を、私がとても楽しみ、かつ、すごいな〜頭のいい人だな〜、と感動していたのがよくわかる書き込みが沢山残っているのです。林由美香さんフォーエヴァー。ラブ由美香。しかし同時に私は、ピンク界に再び彼女のような、キュートですてきな小さな大女優が生まれることを願いたいのです。(2006.6.10)



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