第15回ピンク大賞(2003年4月5日、池袋新文芸坐)に行ってきました。
2003年4月5日深夜、2002年度ピンク映画ベストテン表彰式&作品上映イベントに行って来ました。
ピンクミニコミ誌「P.G.」主催のイベントで会場は池袋の新文芸坐。夜10:30より授賞式開始、深夜0時過ぎより、大賞受賞作品および関連作品の上映会。上映作品は1位の樫原辰郎監督作品「美女濡れ酒場」、荒木太郎監督の実験的サイレント映画「ハウスレス・ホーム」、池島ゆたか監督の「OL性告白 燃えつきた情事」、女池充監督の「スワッピング・ナイト 危険な戯れ」、そして田尻裕司監督の「不倫する人妻 眩暈」。上映終了は朝6:00。大雨だった前夜とうってかわって綺麗に晴れた朝空の下、皆がフラフラと池袋駅へと帰っていったのでした。
東京に来て絶対行きたかったイベントだったので大変楽しめました。会場の新文芸座は新しいし大変綺麗なので、女性が参加しやすい場所だと思います。そして実際女性が多かった。女の子同士で来ている人かなりいました。全体の1割くらいはいたんじゃないかな?それでも参加者は圧倒的に男性。若い人から結構年輩の方まで年齢層は多様で、あとでわかったのですがビデオカメラやデジカメ持参の人々もかなりいました。所々にこわいもの見たさっぽい若いカップルも。私の少し近くに座ったこのこわいもの見たさ系カップルは、映画の合間合間にガマンできないのか(笑)かーなーりーいちゃついてました。ホテルに行けよホテルに・・・。映画館のすぐ近くにあるんだからさ。
開場を待つ間ロビーにいたのですが、喫煙コーナーには、おお、伊藤猛がいるっ!!そして、川瀬陽太がいるーーー!一緒に来た友人からは「行ってくれば?」と勧められたのですが怖くて近寄れませんでした(笑)。ちなみに彼は里見瑤子様や榎本敏郎監督を見かけたとか。これは普通の映画イベント(in地方)ではなかなかあり得ない体験で感動的でした。
友人が機転をきかせてくれたおかげで関係者席近くの席に座り、イベント開始を待っていたところ、ちょうど斜め前あたりに川瀬&伊藤の国映コンビが腰を下ろす。(再び失神。この二人は仲が良さそうでした)ああこれで本多菊次朗様がいらっしゃれば・・・
表彰式がはじまると舞台の上には次々と出るわ出るわ、池島ゆたか監督(「スペシャルコメンテーター」だったそうで)、林由美香(プレゼンター)、佐野和宏(男優賞)、川瀬陽太、葉月螢(女優賞)、女池充、とにかくあの人やこの人がどんどん登場してどうしようってなもんでした。特に印象的だったのは新人女優賞を受賞して会場にお母さんが来ていた真咲紀子。池島監督にさっとふられてお母さんが会場に挨拶をしたのには会場全体が拍手喝采でした。あともう一人印象的だったのは葉月螢。映画に出てくるそのままの佇まいでボーッとそこに立っている、あの独特の雰囲気がなんとも言えませんでした。この人がピンク映画に出てるなんて、普通の人は思わないだろうなぁ・・・。
監督陣では、女池充&榎本敏郎監督がまさしく「映画青年」ぽいムードで、確かにああいう映画を撮りそうだ(笑)と納得してしまいました。一方で、授賞式のスペシャルコメンテーター・池島ゆたか監督はエンターティナーぶりを発揮しており(そして池島作品自体もエンターテイメントだったので)、作風に人となりって大きく影響してるんだな、と思った次第でした。
イベントの最後にゲスト陣がズラリと舞台に立ったのですが、時間も押していてコメントは短時間。しかし実はそこに本多菊次朗様が!もう早く言ってよー。黒のセーターに黒のパンツ姿、舞台の袖の方にさらりと立ってました。(くそう、望遠レンズ付きのカメラを持ってくるべきであった)昔教師を目指していて教育実習に行ったことがあるけれども、その子供たちもそろそろピンクを見る年になってるだろうな・・・とユニークなコメント。(そういえば劇団公演のPRがなかったなぁ)他には、伊藤猛が早口で瀬々敬久監督の「MOONCHILD」をPRしたのが大変印象的でした。「全国で200人はファンがいるって(瀬々が)言ってますんで」ってもう少しいると思うんだけど(笑)
上映が始まる前に概ねゲストは退出。ただし女池、田尻監督はいたような気がします。脚本家の西田直子氏(「スワッピング〜」「不倫する人妻」)も最後までいた(んじゃないかな)。どうもお疲れさまです・・・。
上映された作品については体力があればぼちぼち感想を書きたいと思います。ここでは簡単に。
個人的に一番好きだったのは「OL性告白 燃えつきた情事」。恥ずかしげもなくラブストーリーの王道を行っているのが気に入りました。それに川瀬陽太だし。これ実は一昨年のキアヌ・リーブス主演「スウィート・ノヴェンバー」の翻案といっていい作品なのですが、実はこっちの方が面白い。エンディングなんてメロメロドラマチックなのですが大変マジメに見入ってしまいました。「美女濡れ酒場」のシュールな雰囲気もちょっとデヴィッド・リンチなぞを思い出して大変楽しめましたし、ラスト近くの急展開にはすっかり乗せられてしまい画面に見入ってしまいました。それに主演の竹本泰志(男優賞)かっくい〜。(ミーハー)ただし、今振り返って見ると、基本的な設定の部分でどうも文句つけたくなるんですけど。以下反転。→どっちにしろ死んでいた、という結末が与えられる男にあれだけの経験をさせる意味があったのか。生と死の狭間でああいう幻を見たのち再生してゆく、ということであれば物語に意味があるとは思うが・・・。「不倫する人妻 眩暈」は普通のドラマとかマンガとか映画とかでよくありそうな、女性の(精神的)自立もの。物語そのものは「ラブジュース」と同じで手堅く出来てますが、ものすごくユニークってものでもありません。佐々木ユメカさんが大変疲れた様子なのが気になりました(笑)。彼女の夫を演じた佐野和宏と、この二人の演技が見どころの映画かも。
「ハウスレス・ホーム」は自主制作なのでまあ良いかといった感じ。サイレントにした意味が残念ながら全く感じられないし、物語も面白みがないし、これなら絡みを増やして普通のピンクにしたほうが良かったと思います。そして一番謎だったのが「スワッピング・ナイト 危険な戯れ」。なんじゃこりゃ。こういう映画にピンク映画界における芸術性の発露を感じる人もいるのかもしれないけど、ただ単に収拾がつかなくなっただけじゃないかい?萩原朔太郎の詩がモチーフにつかわれてますがなんちゃってモチーフにすぎません。言いたいことがさっぱりわからず。見所は葉月螢とAV女優の風吹晏名の張型を使った絡みのシーン。これはこの夜見た映画5本の中でもっとも扇情的でド迫力でした。思うに「スワッピング〜」が、こんな内容ながら2002年度12位に食い込んだのは、このレズシーンの賜物ではなかろうか(笑)。
てな、まあこんな感じです。
(2003.4.8)
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