『未来少年コナン』に寄せて
注釈集#3
 
*1『いちご白書』
 
「THE STRAWBERRY STATEMENT」1970年/アメリカ
第23回カンヌ映画祭審査員賞受賞作
【原作】
ジェームズ・クネン(James S. Kunen)『THE STRAWBERRY STATEMENT』1968
(邦題:『いちご白書 -ある大学革命家のノート-』青木日出夫訳 角川書店1970)
【監督】
スチュアート・ハグマン(Stuart Hagmann)
【制作】
アーウィン・ウィンクラー(Irwin Winkler)
ロバート・チャートフ(Robert Chartoff)
【脚本】
イズリール・ホロヴィッツ(Israel Horovitz)
【撮影】
ラルフ・ウールシー(Ralph Woolsey)
【音楽】
イアン・フリーベアン=スミス(Ian Freebairn-Smith)
【主題歌】
バフィ・セント=メリー(Buffy Sainte-Marie)「The Circle Game」
【出演】
ブルース・デイビソン(Bruce Davison)
キム・ダービー(Kim Darby)
バッド・コート(Bud Cort)他
◆ ◆ ◆
1968年コロンビア大学での学園紛争の渦中に、革命運動家の女子学生リンダ(キム・ダービー)に恋をした平凡なボート部の学生サイモン(ブルース・デイビソン)。彼女に近付くために学生運動に加わったサイモンは、ボート部の右派学生との衝突からやがて自らの精神改革を余儀なくされ、真剣に学生運動に取り組み始める。そして、国家権力と結託して学生自治を脅かそうとし、また不正を働いていることが発覚した大学当局と闘うことに。
そしてクライマックス。大学の体育館に立て籠もった学生たち。輪になってJohn Lenonnの「Give peace a chance」を歌いながら床を叩いて抗議を続ける彼ら。そこに突入してくる警官隊。衝突する両者。やがて引き離される2人・・・。激しい争乱の様子を、当時としては斬新なカットで描写し、奥深い感動を与えた名作。
アメリカンニューシネマの1作として名高い本作は、日本でも公開され、当時の世相と相俟って多くのファンを生んだ。ファンの1人である松任谷由実(当時は荒井由実)が1975年にこの映画を題材に”『いちご白書』をもう一度”を書いたことは夙に知られている。

 
*2 東京大学安田講堂攻防戦
1969年1月18日・19日に全学共闘会議(全共闘)の学生ら約500名が、東京大学安田講堂を解放区【かいほうく:革命勢力が、中央権力の支配を排除して革命の根拠地として支配した一国内の小地域を差して言う言葉】と称して占拠。これに対して大学当局が公安に要請し、19日午後5時46分に機動隊によって強制的に講堂内から排除された事件。
当時、東京大学では1967年の医学部闘争に端を発した学生運動が非常な盛り上がりを見せており、俗に言う「東大闘争」がピークを迎えていた。そして、他大学の学園紛争に対する公安の介入や'70年安保自動延長などに反対し、彼らは安田講堂に立て籠もったのである。時計台放送、帝大解体、造反有理などといった言葉に連想される一連の東大闘争もこの事件を期に、徐々に鎮静化していった。