膝の怪我を克服する
(温存治療編)

膝の怪我を克服する2
(前十字靭帯再建手術編)


平成11年3月記述

 スキーの滑走中にもっとも怪我を起こしやすい個所の一つに「膝」を あげることができます。
最近では、スキーブーツにより足首がしっかり固定されているので足首より膝の怪我が多くなってきているようです。
私も「自分は怪我をしないだろう」と思っていた一人だったのですがH11年3月6日に膝の怪我をしてしまいました。


怪我の発生!

 怪我は、ガーラ湯沢スキー場、午前のスクールレッスンの総合滑走の 時に起きました。コース脇にはスノーボードバッチテスト用のポールが 張ってあり、いつもよりコース幅が狭かったのを覚えています。
私は、パラレルターン大回りを速度を上げて滑っていました。 すると スノーボードがバックサイトターンでこちらに迫ってきたのです。私は 避けれると思いコース端いっぱいまで滑走ラインを膨らませたのが失敗 でした。コース端に張ってあるポールに脚を引っ掛けてしまい、体の向 きが180度回転しました。そのまま後ろ向きのデングリ返しをして転 倒した時にどうやら脚を捻ったようです。



「ガキーン!」という衝撃が走り、その時は骨折したと思うほどの痛み です。その後はスノーモービルの後部座席に乗せられ医務室に連れてい かれましたが、その時は痛くて気分が悪かったです。
スノーモービルから降りた時は、脚がガクッとなり激痛で歩くことがで きませんでした。医務室ではとにかくアイシングです。なんと、佐藤譲 デモも見舞いに来てくれました。(たまたま居たのだろうか?)
    30分後ぐらいに、なんとか歩くことができるぐらいに痛みは治まりま したが、1歩に5秒ぐらいかかる歩行速度が限界でした。階段で地獄の 痛みを絶え、新幹線で帰宅・・・・。
 夜はもう寝たきり老人のような生活です。靴下も自分で脱ぐことがで きません。これはまずいということで次の日に「日赤救急病院」に行く ことにして寝ることにするが、ちょっと動くだけで激痛が走りほとんど 眠れず・・・。
 次の日は、父親の運転で日赤救急病院へ・・・。とりあえずレントゲ ンを撮り、整形外科の先生に見てもらう。先生は膝をひっぱったり、ね じったり・・・。いろいろな間接の動きをチェックする。
その結果、「内側側副靭帯損傷」との診断。しかも間接に血が溜まって いるとのことで40ccの血を抜かれた。これが痛いのなんの(T_T)  病院では、包帯でテーピングをしてもらい、安静しているようにと指示 をうける。こんな包帯のテーピングでよいのか?と少し不安に。
家に帰るが、足はかなり痛い。 膝がほとんど曲がらないため、かなり ギクシャクしている。とりあえずそのまま安静に・・・・。
 次の日は、会社に行くために現在の歩行速度を考え、早起きをする。 いつもより30分はやく出るが、結局到着時間はいつもと同じ。歩く時 間がかなり長くなった。しかも包帯でテーピングしてるだけなので、電 車の中などで動いていないときは、普通の人と見た目は同じ。そのため 周りの人は全くいたわってくれない(涙) 満員電車は非常につらいも のがある。ちょっと足に負担がかかるたびに悲鳴を出しそうになること が多々あったが頑張ってこらえた(笑)
 仕事中は、デスクワークのため座っているのだが、膝が心臓より低い 所にあるため膝内で出血した血がふくらはぎ等に下がりどんどん腫れて くるのだ。そのため靴下の所より下は、靴下の締め付けで血が降りない ため腫れていない。とっても奇妙な足の形である(^^;
足がむくむと非常にだるい。仕事なんかやってられねーと思いつつ数日 をすごす(笑)
2回目の診察でもやはり血が溜まっているということで、また血を抜か れる。今度は50ccも取れた。うーむ大量である。50ccというと 大したことなさそうに聞こえるが、注射器にするとマンガにでてくるよ うなオバケ注射器である。前回もそうだったが、私は注射器を見た瞬間 「まじかよ・・・」と呟いたのを覚えている(笑)
さて、ここで体験談はいったん止めて、次から膝についてお話をしまし ょうかね。


膝の靭帯って?

 膝の靭帯は、全部で4本ありまして、それぞれ「膝外側側副靭帯」  「膝内側側副靭帯」「前十字靭帯」「後十字靭帯」で構成されます。  私が怪我をしたのは、内側の「膝内側側副靭帯」です。下記図参照
  


上の図を見ると膝の構造は一目瞭然ですね。わかりやすく名前を書いて おいたので、内側の靭帯の位置がわかっていただいたと思います。
では、内側の靭帯の役割は?といいますと、簡単な図を作成しましたの で見てください。(下記図参照)



もう御分かりですね。内側の靭帯がないと足が外側に曲がろうとした時 に支えがなくどこまでも足が曲がってしまうのです。それを抑制するの が内側側副靭帯です。(膝の骨というのは、上下で密着しておらず靭帯 の伸び縮みで稼動していると考えてください)
靭帯の損傷(断裂)とは、靭帯の稼動範囲外への大きな力が加わった時 におこります。私が怪我をした内側側副靭帯は、かなりの幅(5cmは 余裕である)があり、ちょっとやそっとでは断裂ということはありませ ん。私も例に漏れず前半分だけ損傷しました。内側側副靭帯というのは たとえ切れても時間が経つと自然にくっついてしまうという優れもので すが、一回切れた繊維質の筋肉が100%戻るということはなく、運が 悪いと膝のなかに繊維質のボコボコしたしこりができてしまうこともあ るらしいです。もし内側側副靭帯が切れた時は、ともかく安静で動かさ ず靭帯をくっつけることを優先にするそうです。一番いいのはギブスだ けど歩けなくなっちゃうからテーピングが一般的なんだそうだ・・。
もし完全に断裂した場合、足がどこまでも外側に曲がってしまうので、 すぐわかると先生はいっていました。
これは、外側側副靭帯にも同じようなことがいえ、症状は足が内側にど こまでも曲がるという全く反対の動きをします。もし両方が切れたらた ぶん立てないんではないでしょうか?

しかしスキーでもっとも懸念しなければならない靭帯の怪我は「前後十 字靭帯」の怪我です。この靭帯は、上の骨から下の骨を吊るしている役 目をしており、切れると自然治癒はありえません。ちょうど天井から、 ゴムで何かを吊るしていることを想像してください。もしそのゴムが切 れたら上と下を引っ張らない限り結ぶことは不可能ですよね?これがち ょうど膝十字靭帯にもあてはまります。この上と下を引っ張るという作 業が人間で言う手術になります。しかし靭帯をそのままつけるというこ とは無理なので、太ももの靭帯を移植するなど結構大変なものです。
またリハビリに約1年を要し、最初地獄の3ヶ月を味わうらしいのです が真相は定かではありません。
しかし面白いことに、十字靭帯が切れても歩行にはなんら問題がないの です。十字靭帯は膝の「ねじり」や「前後のずれ」などを押さえる役目 なのですが一般生活では、このような動作があまりないため問題がない のです。しかし不意な動きなどで膝が外れてしまうことがあります。
外れるといっても、一瞬のことで「ガクッ」とする程度ですが・・。 又、年をとって膝周りの筋肉が衰えてくるとこの現象は頻繁にでてくる ようになるそうです。
  ただやはり切れている場合、スキーなどの運動を行う場合には必ずテー ピングをガチガチにすることが条件だと整形外科の先生は言っておられ ました。もしそれで膝をいためると半月版の損傷のリスクが高くなり、 内側外側靭帯も痛める可能性があると脅されましたので・・・・。
しかし、私の知り合いには十字靭帯が切れているにも関わらず、なんも しないで指導員をやっている方もいますが・・・。 もうその方は30年間、靭帯がないそうです(笑)


現在の療養その1 H11 5.12

 現在は、内側靭帯も完全にくっつきリハビリをおこなっています。
リハビリといっても、膝の曲げる練習と伸ばす練習、膝にマイクロ派を あてて血行促進療法のみです。まだ完全に曲げることはできず、正座な どはできません。だいたい昔の稼動範囲の80%というところでしょう か?でも毎日着々とよくなっているのが実感できるので、完全復活も近 いと勝手に思い込んでいます(^^;運動もスキーなどのひねりを主体 とする運動以外は、テーピングをすることによってすべてOKがでてい ます。スキーは6月になったら行ってもよいと言われていますので、も うちょっとの我慢ですね。今度この部屋の更新は、膝の完全復活の後に したいと思います。ここの部屋が更新されない限り復活してないと思っ てください(笑)医者に「完全」 復活というのは来年ともいわれているような気もするが・・・・。


現在の療養その2 H11 9.08

 この部屋を作成してから4ヶ月が経ちました。スキーを再開したのは6月からですので、もうスキーをして3ヶ月経っていることになりますが至って快調です。今現在の稼動域は95%ぐらいでしょうか?正座などの曲げ動作は問題なくできますが100%力を抜いて伸ばすということが怖くてできません。たぶんこれは精神的な物から肉体的動作を制限しているのだと思います。怪我をしてから3ヶ月間ぐらいなにかと足をかばうため力を入れつづけていた後遺症とでもいうのでしょうか・・・。また運動 をする場合、やって大丈夫なのか分からないのでできないというスポーツが沢山あります。例えばテニス・・・。あの急激な方向転換などは恐ろしくてできません(笑)まあ簡単にいうと全速力で走るスポーツが駄目ということです。
痛みの方はというと、やはり時々痛くなります。湿度が高い時などはなんかジワジワと痛みます。最初はスキーを長時間すると痛くなるということはありましたが、今はスキーで痛くなるということはあまりなくなりました。普段の生活は、ほとんど元通りになりました。
またそのうち時間がたったら経過を書きたいと思います(^^)




現在の療養その3 H13 6.30

 怪我をしてから2年が経ちました、スキー滑走日記などを見てスキーにガンガン行ってるので100%完全復帰か?と期待された方もいらっしゃるかたも多いかと思います。しかし残念ながら完全復帰というのはこれから一生ありえないと思っています。膝の稼動域は100%戻っています。正座も問題なくできますし、屈伸等もなんら問題なく、生活は全く元通りになりました。この辺りの意味では100%復活しました。では何が駄目なのか?やはり膝の絶対的な強度落ちてしまいました。今年から滑りの技術を大きく変えたせいもあり負担をかけていたこともあると思いますが、怪我をしていた膝を2回ひねりました。まあ軽傷で1週間もすれば直るんですが、なんでもないようなシチュエーションで突然ひねってしまうのです。1回目はコブで少し体が遅れただけで「グキィ」となりました(笑)2回目は転倒などではなく、普通の滑走中に突然です。だから「ひねった」という表現ではなく「膝の靭帯が疲労で引っ張る力がなくなって伸びてしまった」という表現がいいのかもしれません。これらは膝の筋力をつけるしか解決方法はありません。自分は何もやってないわけですが、特別鍛えてるわけではないので、もう少しなにかトレーニングを考えないといけないかもしれませんね。また恐怖心が完全に抜けきれません。コブなどはもうびびりまくってしまいアタックができません。これは慣れるしかないんですか、慣れないんですよ〜(涙)また運動もテニス、サッカーなどの急に方向転換する運動は相変わらずできません。これは膝が外れそうになります(笑)じゃあスキーはどうなの?となりますがスキーは平気みたいです。じゃあテニスも平気なのかな?でもこの前、卓球ごときで膝外れそうになったしな(笑)でも卓球はやってます。


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