小豆島


 小豆島は瀬戸内海に浮かんでる、淡路島の次に大きい島……でよかったと思う。

◇◇◇

 本当なら4月30日に出発する筈が、天候不良のために2日順延。5月2日に出発。GW中にも関わらず、宿泊の延期ができるあたりが大らかだなぁ……などと思いつつ、それにしても前夜の天気予報では快晴の筈が、曇り時々晴れに変わってるのはどういうことよと、雨を呼び寄せるのはどちらの責任かなどと話し合いつつ、出発。

 阪神高速道路神戸線を経て第2神名、姫路バイパスとかを走って姫路港に到着。途中で多少の渋滞がありましたが、特に問題もなくクリア。フェリー乗り場で11時45分発の乗船券を買う。姫路から小豆島の福田港までは1時間40分。船の中では仮眠したり本を読んだり。風がけっこう強いので、デッキには出られるものの長居する気にはなれず。海風を受けてちぎれんばかりに勇ましく泳ぐ鯉のぼりはよかったかな。

 小豆島到着。海岸線のすぐ側まで山が迫っているあたりが、実に島らしい風情。カーブもそれなりに多くて、バイクを走らせるのは結構楽しい。路面もきれい。途中、昼食に讃岐うどんの店に寄る。駐車場でご老人のグループに遭遇した司書は、白髪のおじいちゃんに

「まぁ、まぁ、若いのにエライねぇ」

と、褒められる。既に若いと言われると罪悪感を覚える年齢になってんですけど、まぁ、還暦をとっくに超えてる人から見れば若いかも……と、とりあえず納得してみる。

 小豆島のほぼ中央を東西に抜ける小豆島スカイラインに入る。山道。舗装はしてあるけど、山道。急カーブも半端ではありません。U字もヘアピンもようけありまして、どうしようかと思いました。こけたらシャレにならないので、安全速度で走ってはいますがね。『お猿の国』が近づいた辺りで、車道に猿。バイクが近づいても逃げない猿。カーブでスピードを落としたら近づこうとする猿。コワイもの知らずにもほどがあるやろうとか思いつつ、『お猿の国』に到着。

◇◇◇

 『お猿の国』には野生のというか、放し飼いのニホンザルの群があって、園内の檻にはワオキツネザルとかの珍しい猿もいてた。柵に囲まれた場所には何故か鹿。空いてる檻の中で寝てる鹿。たぶん、そこに収容されているであろうウサギ。なんで? とか思いつつ、茂みの中にいる猿を見てなごんだり。

 同居人が猿のエサ(100円)を買うのを見て、

「こっちに来んといて!」

と、思わず叫ぶ司書。奈良公園で鹿せんべい目当てに突進する鹿に懲りてるので、つい、こんな風に叫んでしまうんですけど、そりゃぁ、見事に同居人は猿に囲まれております。殻付きの落花生をやるんですけど、地面に落とした途端に始まる壮絶なバトルには言葉を失いますよ。ボス猿が幅をきかせてるんですけど、まぁ、他の猿も運が良ければ落花生にありつけるわけで、そうなると追いかけ合いが始まりまして、生存競争の厳しさを目の当たりにして言葉を失いました。ぼーっとしてると、猿がジーンズをひっぱりまして、あんたもエサちょうだいよとでも言いたげな顔で見上げられて困惑。ふと見ると、同居人のジャンパーやらジーンズにも猿の手が伸びてまして、ちゃっかりしてるというか、人慣れしてるなぁと感心したり。管理人というか、飼育係の人達のいる場所ではエサをやっても安心ですが、目の届かない場所ではくれぐれもやらないようにと言われましたが、それはわかる気がする。オッチャンらがいてない場所やと多分、猿はそっと手を伸ばすんではなく、人をどついたりするのかも……いや、普通にしてたら問題ないんですけどね(笑)。

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 『お猿の国』を後にして、小豆島スカイラインが途切れる所で南下。土庄の平和の群像を目指して走る。それから小豆島の西の出っ張りを一周する感じで254号線を走るわけですが、この辺ではオリーブ公園とか門ヶ鼻岬とか回りつつ、海沿いの道を走る。

 その後、小豆島の最南端を目指して釈迦ヶ鼻へ。ここには地蔵灯台(うろ覚え)があって、そこまで行こうとしたんですよ。したら道がねぇ、こう、グネグネ、グネグネしててね、真っ直ぐな道がないってーか、途中で舗装道路ではなく、地道になって、轍があって、どうするよ、オェみたいな、ねぇ。教習所で習った悪路走行を思い出して、尻をシートから浮かせて膝で路面から受ける衝撃を緩和しつつ走って……ようやっと到着した灯台敷地は立ち入り禁止。せっかく来たのになぁとか思いつつ、けど立ち入り禁止なのは灯台が大事にされてるからやよなぁと己を慰めつつ下山。

 そう言えば小豆島の出っ張りというか、岬には『鼻』という字がよく使われてるけど、コレって実はちゃんとした意味とか謂われとか、昔からの伝承とかがあんのかなぁとか思ったり。

 小豆島オリーブ公園は道の駅と併設されていて、ここでお土産を少し買う。オリーブだからギリシャ風の設えになってて、なんちゃってエンタシス(中央部にふくらみはない、ただの円柱)とか、ギリシャ風の彫刻とかが展示してありますが、彫刻の足下とかには硬貨。手にしてる壷とかにも硬貨。肩とか服のくぼみにも硬貨。日本人はとりあえずお賽銭を置くのが既に本能とかしているのかも知れないと思う。学校に置いてあるデッサン用の石膏像とは違って、鼻の穴が黒く塗られていない分だけ、ここの彫刻は幸せやよなぁと……イヤ、比べるもんでないのは承知してますけど、ねぇ(笑)。

 何だかんだしてるうちに宿に到着。家族でこじんまりやってる感じの宿で、早々に風呂に入ってご飯食べて、テレビを見ながらというか、途中で見てないことに気がついて早々に就寝。ご飯はさすがに海の幸が豊富で、小振りの鯛の塩焼きに二人分とは思えない量の刺身盛り合わせ、天ぷら、わかめとキュウリの酢の物、にゅうめん、卵豆腐。どれも美味しかった。もったいないからと頑張って食べたけども、結局お刺身は少し残りました。てか、アレは二人前とちゃうで。

 朝ご飯はカボチャ、にんじん、竹の子、高野豆腐の炊き合わせと目玉焼き、海苔、漬け物、煮豆、みそ汁、ご飯。ご飯を二杯いただいて、出発。福田港を目指す。

 途中の道は、そりゃ凄い山道ですよ、アナタ(笑)。私のバイクのギアは五速までありますが、勾配とカーブがキツイのとで標準で四速。連続するコーナー、急カーブでは三速で通過。こけたら谷に落ちてしまい、足下ら自力でバイクと生還するのは無理っぽいので、ひたすら安全速度で安全運転。てか、私は基本的に景色とか楽しみながら、ダラダラ走るのが好きなの。峠攻めるとか速く走るとか、あんま興味ないんです、マジ。同居人は先に行く。たまに追いつく。引き離される。待ってる同居人に追いつくという感じで、福田港に到着。

 9時20分発、姫路11時着の船に乗る。姫路からは往路と同じコースを走るわけですが、祭日ということもあって途中で渋滞してました。それでもなんとか、1時過ぎには自宅に到着。

 今回のツーリングでは、一杯猫を見ました。明石サービスエリアでは妊娠してる、首輪をした猫がいてました。子どもができたから捨てられたんやとしたら、なんとも切ない話やと思う。てか、サービスエリアって捨て猫とか捨て犬多いよね? なんか、今回はムッチャ目についた。

 夏が終わったら日本海の温泉に行きたいです。


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