奥高野・野迫川温泉郷


10月13、14日は奈良県野迫川村にある野迫川温泉郷に出かけました。何年か前の映画では近くの天川村で殺人事件が起こったり、平家の末裔……でいいのかな。平維盛(たいらのこれもり)が終焉を迎えた地域として知られており、ついでに言うと弘法大使ゆかりの高野山に並び、奥高野と評されていたりするそうです。修験道の聖地である大峰山の麓だったり。因みに大峰山は未だに女人禁制で、司書も中学生の時に林間学校で訪れましたが、男子が大峰山に登っている間、女子はその辺で川遊びしてたっけとか、そんな感じの地域です。

大阪からは時間にして3〜4時間ほど。距離にして300kmくらいですかね。直線距離は短いのですが、山越え・峠越えが多いので実際に走ると結構な距離になります。国道309号線をひたすら奈良方面に向かって走るのですが、途中、いくつかの村では秋祭りのために交通規制が敷かれていたり、渋滞してたり。それから10月初旬に大雨が降ったりしたせいで、あちこちで土砂崩れなどの工事をしてたりしてました。

さて、大峰山の登山口のあたりも温泉郷ですが、シーズンオフということもあり人影はまばら。紅葉の季節には少し早かったせいもありますが。特に見物するものもなく、町中をぶらぶらしてたんですけども、そここに『陀羅尼助』の看板が。『陀羅尼助』を一言でいいますと、修験道の修行をしていた人達の間で広く使われていた所謂『正露丸』みたいなもので、でもその起源は弘法大師の時代に遡ると言われている由緒正しき和漢薬です。正露丸の四分の一くらいの大きさで、大人一回10粒程度を目安に服用します。正露丸よりも臭いはマイルド。オシロイバナの種を一回り大きくしたような、そんな感じですかね。

宿泊先の『ホテルのせ川』を目指すと、当然のように山越え・峠越えが始まりました。軽自動車同士ならどうにかすれ違えるかしらってな幅の道はコーナーの連続で、アップダウンもそれなりにありまして、下手くそでのろまな司書は同行者の同居人に少しずつ遅れるわけで、しまいには見えなくなってしまいまして、時々待ってくれてるのに追いついたりしつつ目的地を目指すことに。標高が増すに従い気温は低下。それなりの装備はしてましたが結構冷え込んできて、『平維盛歴史の里』に着く頃にはすっかり身体は冷えてまして、施設内の食堂でにゅうめんとコーヒーの間食をとる。人の良い食堂のおばちゃんは二人連れの司書たちを見て、にゅうめんを大盛りにしてくれたばかりか、取り皿まで用意してくれました。嫌、確かに一口もらうつもりやったけどね(笑)。至れり尽くせりの心遣いに感謝。にゅうめんのオマケの漬け物がすんごい美味しかった。施設内を見学してから、改めてホテルを目指す。

が、しかし――!! 先週の豪雨でホテルに向かう道路は閉鎖中。持参した地図では30分ほどで到着する筈の距離だというのに、迂回路を使うとかなり遠回りになってしまい、結局1時間少々かかりました。いや、まぁ、私、遅いから(笑)。道は細いし勾配もキツイしアップダウンも激しいし……嫌、まぁ、私は峠を攻めた経験もないしな、しゃーない。

ホテルに到着してすぐに温泉へGo!! ジャグジーと大浴槽で疲れをほぐした後は、お楽しみの夕食です。山の中の温泉宿でマグロの刺身なんか出されると興ざめしてしまうものですが、こちらのホテルはエライ!! 刺身はこんにゃくと鹿のみ。鴨とイノシシの小さな鍋。松茸。アマゴの塩焼き。天ぷらも山菜と野菜を中心に、動物性タンパク質食品はアマゴのみで。あと松茸の土瓶蒸しもありましたが、松茸の移り香のする吸い物をああいう形で食するのは、そこはかとなく貧乏くさいような気がしました。つーか、松茸にバリューを感じませんから、鹿とかイノシシとか鴨とかこんにゃくのほうが美味しいと思った。松茸って、そんなに美味しいかなぁ。あったら食べるけど、自分で買おうとはあまり思わないというか、それやったら他のもんを買うほうで、同居人も似たり寄ったりの人間なので、周囲の人達ほどありがたがらないという……。

食事を終えてもっかい風呂。

翌朝、チェックアウトを済ませて向かうは『高野龍神スカイライン』。中免を取って初めてのツーリングで白浜を目指した時には冬季閉鎖期間で走れなかったため、今回はリベンジです。しかしホテルから高野龍神スカイラインに向かう道も山越え・峠越え。ヒィヒィ言いながら転けないように走るしかないという、結構なきつさッス。それでも有料道路区間に入ると実に快適で、適度な勾配とコーナーがいい気分です。途中、『鶴姫の墓』とかいう史跡に立ち寄りましたが、展望台に登るのが一苦労で……。自動車が一台ようやく通れるかという幅の道、それもかなりの急勾配で、うっかりするとエンストするんですね。実際、エンストした時は泣けました。再スタートを試みるも何度も失敗するし。バランスを失いそうになるしで、この時ばかりは両足の着くバイクを選んで良かったと思う。教習所で乗ってた400ccのバイクだと、絶対に転けてた自信がありますともさ!! てか、転げたら谷底に落ちてしまって、バイクはおシャカになるのは目に見えてました。

『高野龍神スカイライン』から大阪方面――河内長野方面に抜ける国道を走ってましたが、これまた細くて九コーナーで急勾配で……。泣けてきました、マジで。広い快適な道路は結局、高野龍神スカイラインと、国道の市街地付近のみでしてね、奈良方面に行くなら山越え・峠越えしかないという現実を改めて実感した小旅行でした。


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