大阪・南九州紀行―1―


んなわけで、南九州ツーリングに出かけてきました。大阪は南港から午後7時過ぎにフェリーは出航。翌朝7時過ぎに宮崎港に到着するわけですが、バイクは司書を含めて5名のみで、しかもあとは寝るだけってな時間帯に航行するので、北海道行きのフェリーほどの盛り上がりはありませんでした。気になったのは生きた牛を載せたトラックの存在のみ。朝、バイク出す時には、さぞかし牛臭いことよのぉ……などと考えながら船室へ。夕食にコンビニで買ったおにぎりを食べて、歯磨きをして早々に就寝して明日に備えることに。

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さて、1日目は曇天。やはり早朝の車輌甲板は臭かった。この日の最終目的地は熊本県阿蘇高原。宮崎港からおよそ200キロの距離を走破せねばならないので、とっとと出発しました。

宮崎港から一ツ葉有料道路を経て国道10号線を北上して延岡を目指します。九州の西海岸沿いを走るコースは車の通行量が多いことを除けば、適度なコーナーと直線のある走りよい道です。時折海が見え、潮の香りがする。道ばたには果物の直売所があったり、民宿だとか土産物屋があったりして、のどかな気分を味わいながら走行。

日向を過ぎたあたりで地図を確認し、高千穂峡への曲がり角を探しはじめます。延岡から高千穂までの道は神話街道とも呼ばれていて、山道特有のコーナーが連続している割には走りやすくて快適で、市街地を抜けると深緑色の水の流れる清流が眼下に見え、周囲は濃い緑の若葉が揺れてたりして、生命の息吹が最も美しい季節を満喫。

高千穂野市街地を抜けて高森峠を経て阿蘇高原を目指したのですが、死を覚悟したのが1回、背中に冷や汗をかいたのが1回。いや、マジでしんどい行程でした。

国道218号線から325号線へと進路を取り、道なりにまっすぐ走るわけです。それだけなんですけども、高森峠というのは国道で2車線あって、しかもアスファルトで舗装されてる道路だったりするので、うっかりしてしまいました。つーか、途中で林道並のコーナーが連続してたりして、それが適度にアップダウンなんかしてくれたりして、街乗りばっかりで鈍くなってる司書にとっては、かなりの難所でした。

そして下りのカーブ。次第にカーブの半径が小さくなっていきまして、最後にはヘアピンカーブになっててねぇ、すっかりびびってしまって速度を落としたものの、落としすぎてバイクは失速。コーナー走行のために車体を斜めに倒していたのですが、車体が大きく上下に揺れてしまって、マジで転倒を覚悟しました。が、下は崖です。落ちるわけにはいきません。落ちたら単車を押して上がれませんからね。そうなると少しアクセルを開いて速度を上げる他、助かる手段はないわけです。けれども車体を立て直した直後は走行ラインがふくらんでしまい、センターラインをオーバーする危険性がありまして、当然カーブが連続しているので対向車とすれ違うタイミングはわからない。お陰様でセンターラインをタイヤ1本分はみ出しはしましたが、左車線に戻った直後に対向車が反対側車線を通過。思わずゾッとする。本気で事故ってもおかしくない状況でした。

その後も峠の林道は続きまして、先の件ですっかり初心に戻った司書は教習所で習った筈のコーナー通過技術を思い出しながら走行。当然、速度は遅くなります。で、後ろから赤いスポーツタイプの車に煽られて、道を譲った時に必要以上に近寄られて背中に冷や汗をかく。せやから、赤い車は嫌いやねんと心の中で叫びつつ、阿蘇高原を見渡せる休憩所で小休止。お茶でのどの渇きを潤していると、ドライブ中らしき老夫婦からお菓子をもらう。

老夫婦が出発し、司書が地図を確認しているところへ黒塗りの3ナンバーのベンツがやってくる。しかもスモークガラス。気づかない振りをしていたのに話しかけられる。顔を上げると絵に描いたような強面のお兄さんたちが3人。「ちっちゃいのに一人でツーリングとは、偉いねぇ」などという言葉をかけられて気がヌケヌケ。いやぁ、いちゃもんをつけられるんではないかと思ってたもんですから……。

女一人でツーリングに出ると、割と好意的に接してもらえることが多いです。特に司書は貧弱な体型しているだけに、得することも多いです。お菓子とかジュースとかもらえます。別に楽しみにしてるわけではないですが、何となく嬉しいです。

さて、朝8時に宮崎港を発ち、阿蘇高原・内原温泉街にある宿に到着したのは午後3時過ぎ。結構良いペースで走れました。宿は温泉付きのビジネスホテルって感じで、宿泊客も少な目でゆっくり1度めの入浴を済ませ、翌日ご一緒してもらうまぢまさんに連絡を入れてから仮眠。再度入浴して夕食を食べ、早めに寝ました。

この日の食事は朝、長距離トラックドライバー御用達の飯屋で朝定食。どんぶり飯とみそ汁、塩鯖、ひじきの煮物、冷や奴、海苔、生卵、漬け物。昼食は途中の土産物屋で焼きそばと薩摩揚げ。夕食はホテル内の居酒屋の高菜飯定食。高菜飯、揚げ出し茄子、筍とワカメの煮物、黒ごまのごま豆腐、インゲンのごま和え、にゅうめん、もずく、漬け物。動物性タンパク質は揚げ出し茄子の上のひとつまみの鰹節だけ。見事なベジタリアンメニューに満足しました。つーか、食べ盛りの子どもは叛乱を起こしそうだと思いました。


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