伊賀上野


 今年最後のツーリングは、伊賀上野でございます。

 伊賀上野の名物は伊賀牛と忍者と固焼きせんべいです。それから松尾芭蕉ゆかりの土地でもあります。で、例によって宿泊先の厚生年金施設には温泉が隣接してございます。やっぱツーリングの仕上げは温泉ですから。

 出発予定は11月15日金曜日。日程は一泊二日。高速道路を使わずに一般道のみを走ると決めました。幸いお天気も、月曜日くらいまでは上々らしい。と、安心しておりました。14日の朝の天気予報でもお天気に問題なし。とか思ってたら、その日の夕刊でいきなり雨マーク。こりゃ、また困ったねとか、なんで今更雨が降るかなとか、やっぱり私は雨女なのかとか思いつつ、最悪は車出すかぁとか半ば諦め状態で眠りにつきました。

 

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 翌日は曇り。降水確率はまずまず。これなら大丈夫かと、同居人と共に出発。国道163号線を目指してひたすら市街地を走る。朝のラッシュは多少緩和されておりますが、それでも道は混んでるというか、やっぱり信号待ちとかあったりして、過酷なクラッチワークが続く。

 私は手が小さいくて指も短いので、クラッチレバーを握る時は一旦『パー』にしてから指先をクラッチレバーにひっかけて、それから引っ張るという手順を踏まなくてはなりません。ついでに言いますと握力もクラッチレバーを握る左手は19程度です。そんなワケで最低でも人の二倍速で筋肉疲労になりますので、クラッチ操作を繰り返す市街地の通過は、特にそれなりの距離を移動するツーリングの時はネックだったりします。そして予想通り、市街地を通過する頃には筋肉疲労の傾向が出ていました。

 まぁ、それでも163号線で山越えをしてる分には問題はありません。国道で生活道路ってこともあり、大型貨物と頻繁に行き違ったりもしますが途中で二車線が一車線になったりしない。おまけに信号やシフトダウンが必要な急カーブもあまりございませんので、クラッチ操作も殆どしなくて済むんですよね。

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 お昼過ぎに伊賀上野に到着。予めネットで目星をつけておいたお店を探す。メニュー写真はプリントアウトしていたものの、肝心の住所がわからなかったので駅で店名を告げて、職業別電話帳で住所を調べてもらって、それから近隣詳細地図で場所を特定。ついでに上野市観光マップをもらって昼食へ。

 お目当ては『伊賀牛紙鍋御膳』。野菜の炊き合わせと小鉢(エノキダケの梅肉和え)と赤出汁と茶碗蒸しと麦とろご飯に季節のデザート、小さいすき焼きみたいな紙鍋がセットで2,000円。伊賀牛を食べたのは初めてですが、よくある銘柄牛みたいなどエライ霜降りではなく、適度な赤身でやや歯ごたえのある食感は、具体的に言えば上物の輸入牛って感じでしょうか(笑)。霜降りは脂っこくて苦手なので、個人的には気に入りました。量は丁度いいくらいで。

 食事を済ませて『蓑虫庵』へ。鬱蒼とした、適度に手入れを控えてある庭は好み。広くはない敷地は侘び寂びでいっぱいです。有名な『蛙飛び込む……』の句にちなんだ石の蛙の置物があったり、そこここに句碑があったりして、国語のお勉強もできます。トイレと休憩所がきれいで嬉しいし。

 チェックインまで間があるけれど、とりあえず荷物を預かってもらうために宿へ向かう。途中で名物の固焼きせんべいの工場へ。工場に直売所があるらしいのですが、既に販売時間が終わってるので諦めて帰ろうとしていると、工場の隣のオッチャンが『工場の中の誰かに声かけてみぃ。なんぼでも売ってくれるで』とアドバイスしてくれまして、いってみるとすぐに事務所を開けてもらえまして、んでお買い得の割れせんべいと一番堅いのと、一番堅いのに生姜砂糖まぶしたのをお持ち帰り用に、そしてまだ柔らかい固焼きせんべいを二枚購入。これは工場に隣接した直売所でしか買えないもので、一枚60円。焼きたてなのでほのかに温かくて、柔らかい。味は回転焼き(今川焼き)の皮の水分足りませんな感じで美味。工場の隣に伊賀上野名産の組紐会館らしきものがあって、そこには組紐を使ったお土産がいっぱいありました。ネクタイは締め心地が気になりましたが、買い物はせず。

 んでもって荷物を置きに宿へ向かいましたが、サンウェル伊賀上野ってとこで、厚生年金系列のお宿で安いです。隣には温泉施設もございまして、理想的な条件。マスコットキャラクターはムーミン。あちこちにムーミンがいて、なごむ。

 荷物を置いてから上野城へ。忍者屋敷では薄紫の衣装に身を包んだくのいちが屋敷内を案内してくれます。足下のタビックス(足袋の形のソックス)がキュートです。てか、タビックスが気になって、つい、オネーサンの足下ばっか見てましたよ、私。からくりの説明を、実演しながらしてくれるんですけど、床板を浮かせて刀を素早く取り出しますの部分で、刀を取り落としたりして、なかったことにして次に進む姿も微笑ましい。

 その後は地下の体験コーナーへ。先客の高校生らしき詰め襟学生服の集団がかわいいというか、まぁ、賑やかで。身の回りにあるものを武器に利用して戦いますという実演ビデオにいちいち感嘆の声を出す反応が初々しいよなぁ。ああ、学生服っていいよなぁ、とか思いましたよ。そう言えば駐車場では中学生の集団と遭遇したっけ。オーソドックスなセーラー服と詰め襟学生服。極端な改造制服はないし、それなりに真面目に着こなしてはおりますが、中には制服の中にフード付きパーカーを着込んでる生徒もいて、それだけは勘弁してほしいと思ったり。多分、この学生さん達は修学旅行でしょうな。そんな感じでした。

 上野城天守閣から見渡した紅葉は素晴らしかったですね。もちっと晴れてたら、もっときれいだったのになと思うと、ちょっとだけ残念。

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 宿に戻って仮眠。それから夕食をすませてからお風呂。お楽しみの温泉は宿泊客は無料です。お風呂でゆっくりと左手の疲れを癒しました。入浴客も多くて、中にはマイお風呂セットを持参してる人も多くて、しみじみと日本人は風呂が好きってーか、温泉が好きってーか。や、私もなんですけどね。露天風呂も満喫して、満足。

 そういや、夕食は洋風懐石でして、本日のスープが謎でした。ポタージュで、微妙なベージュ。特に突出した風味はなくて、一体これは何のスープかと同居人と話し合い。エビ……やったら赤みかかった色になるやろし、ホタテ……にしたら風味がそれっぽくないし、キノコをわざわざ裏漉しするわけもなく、一体何やろかえという疑問は解けず、レストランを出る時にウェイターさんに尋ねてみましたら、わざわざシェフに確認してくれました。そこまでしてもらって得た答えは『クリームスープ』。や、それはわかってんねん、もちっと突っ込んだとこを……とか思いつつ、でも食い下がるのもナニやったんでそのまま風呂に行きましたとさ。

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 翌日は朝風呂に入るつもりが寝過ごして入れず。朝ご飯を食べて帰りました。帰りには西名阪道路を使いましたが、こっちの方が走行距離も時間もずっと短くて、最初から行きもこっちにしたらよかったと、同居人と話しました。

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 伊賀上野で昼食の店を探してる時、途中で方向転換を、駐車場でいたしました。が、その時に立ちゴケました。情けない。車体を微速前進させながら方向転換してる途中で失速。バランスを失ってこけましたよ。まぁ、車体にダメージがないように静かに転倒させられたので、特にひどい傷もつかなかった(バイクね。私は脹ら脛内側に青痣)。よかった、よかった。支えきれなかったのは左手首の力がなくなっていたからです。ついでに握力もかなりなくなっていて、瞬発力が出せなくて、右手だけでは車体も支えきれる筈もなくて、立ちゴケたんですけども。やっぱ、アレですな。体格の貧弱さは問題です。手の小ささもね。指も短いしな。

 この一件で私は握力と腕力を冬の間に鍛えると、心に誓ったのでありました。

 話は変わりますが、実はカワサキのW-650という単車に乗りたいんですよね。けども、乗るためには大型免許を取らなくちゃなんなくて、そのためには教習所でナナハンを乗りこなせるようにならなくちゃなんないわけで。でも私は400ccでも片足のつま先しかつかないので、750ccになると絶対にどえらいバランスで車体を支えなくちゃならないわけで、そりゃ、いくら何でもしんどいよなぁ……てなわけで、イマイチ踏ん切りがつかないのでした。でも、ほしいっちゃぁ、ほしいんやよな……。足が……着くんよ、W-650はね。ゼファーも大丈夫なのよね。でも免許を取るまでがね、大変なのよね。

天守閣から見渡す紅葉

上野城天守閣


町中で見かけた猫

それなりにシャイな彼


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