電波系なマルセル様 2


「暗黒大魔王クラヴィス様って周囲に対してものすごく無関心だし、クールに見えるけど、絶対むっつりスケベだと思うの。レイチェルはクラヴィス様の暗い過去のウワサ聞いたことある?」

「暗いのは過去だけじゃないと思うけど……。ねぇねぇ、聞かせてよ。根暗なクラヴィス様の暗い過去」

「あのね、前の前の女王試験の時にね、クラヴィス様と女王候補がラブラブになったんだって。でも相手は女王になっちゃったからクラヴィス様は失恋しちゃったの。それからクラヴィス様は暗黒大魔王みたいに暗くなったらしいのね。その後に今の女王陛下たちの試験があったそうなの。それでクラヴィス様は女王陛下に片思い状態だったらしいんだけど、陛下は結局恋より女王の座を選んだんだって。二人の共通点は金色の髪だったから、クラヴィス様は金髪フェチだって、もっぱらのウワサなの。だからきっと、レイチェルのことを気に入ってるに決まってるって、みんな言ってるよ」

「えーっ、カンベンしてよ。ワタシはクラヴィス様なんてタイプじゃないんだよー」

「でも試験が始まったばかりの時は、ずいぶんレイチェルにご執心だったじゃない」

「お願い、もう言わないで……。ゼフェル様ってすごく手先が器用だけどサ、センスないよね」

「うん。センスはかけらもないね。だってゼフェル様の作ったロボットってぜ〜んぶ、四角ばってるの。幼稚園の時に家中の空き箱を集めて作った工作みたいでしょ。もう少しデザインにも注意を払ってほしい。あ、でもエアーバイクはかっこいいよね」

「あのね、アンジェリーク。自動車とかバイクっていうのは自分のテリトリーを主張するアイテムの一つなの。それにバイクって男根の象徴でもあるから、バイクを猛スピードで走らせる男の人には結構、女々しい性格の人が多いっていうのが、心理学上での定説なんだよ。自分の身体より大きいとか、高性能のバイクや自動車を好む人は、そういうので自分の欠点を補ってるんだって」

「えーっ、じゃゼフェル様は○小○茎で○漏なの?」

「そこまで、ハッキリとは言ってないわよ、ワタシ」

「あら、ヤダ。私ったら、何を言ってるのかしら。ウフ」

「ところでね、ジュリアス様の好きな香りは優美な香りらしいんだけど、その理由がヤバイのよ。『私の母上が、そういう香りだったように思う』とか言ってさ、カンペキ、瞼の母状態でさ、完全に自分の世界に浸ってたヨ」

「それって……」

「そう、マ・ザ・コ・ン」

「守護聖になる人って、マザコンが多いよね。リュミエール様も、けっこうヤバイ感じだもん」


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