「CHUCK・BERRY」
「チャック・ベリー」は、ロックンロールの大御所である。クラプトンに限らず、ス トーンズのキース、ビートルズのジョン、ジョージなど数々のミュージシャンに影響 を与えた。彼のリードギターは、スタンダードなコードフォームをペースにシングル ・トーンとダブル・トーンのフレーズをミックスさせたシンプルな物だが、実にカッ コ良く8ビートにのっている。そう言ったフレーズは、ピアノのフレーズからヒント を得たらしい。クラプトンが影響を受けたのも今までのポップスと違ったブルージィ ーでスピード感溢れるリードギターの魅力にはまったに違いない。あのスピルバーグ の「バック・トゥ・ザ・フュチャー」でもその時代、彼のギターフレーズがセンセー ショナルであった事がフィクションだがうかがえる。
左の写真は映画「HAIL!HAIL!ROCK’N’ROLL」で、音楽プロデュ ースがストーンズのキース。ゲストでクラプトンも1曲だけ参加して、ライブだけでなくリハーサル 風景も見られる。

「FREDDIE・KING」
「エルビス・プレスリーやバディ・ホリーなんかを聴いて、俺もギターを弾きたい と思ってた。そんな時、フレディ・キングを聴いてぶっ飛んだよ!これしかないっ て俺に悟らせるのにあまりあるエネルギーを感じた。」とクラプトンは、インタビ ューに答えている。ブルースブレーカーズ時代のフレディの曲「ハイダウエイ」を 聴くと、クラプトンが、完全コピーをしていたんだなと言うのが伺える。クラプト ンが、3大キングの一番誰に影響を受けたかと言うと、私はこのフレディ・キング ではないかと思っている。ギターフレーズで似ている所が多々見受けられるのだ。 左の写真は、フレディの事実上最後のアルバム。クラプトンとのセッションが特に 素晴らしい「ファーザー・アップ・ザ・ロード」は、フレディの死一ヶ月前に1976年11月に録 られた。この人、指で弾いてます。カントリー・ブルースギターが原点なのかな。個人的にも大好き なブルース・マンで、アタックの強さと、チョーキングの表情付けが本当に凄いです。

「B.B.KING」
3大キング(アルバート・キング、BB・キング、フレディ・キング)の1人「B B・KING」は、”ブルースの王様”と言われているように、黒人のブルースを メジャーに引き上げた功労者の一人。3大キング全てが、チョーキングに個性を持 っているが、彼のギターの特徴は、ダイナミックなチョーキングとビブラートを盛 り込んだ華麗なシングル・ノート・ソロであろう。モダン・ブルースのお手本的ギ タースタイルだ。特に、チョーキングビブラートは、とってもセクシーだ。彼のア ポロ劇場におけるブルース・ジャムへもクラプトンは参加している。
彼の愛器の名前は「ルシール」。クラプトンは、「ブラッキー」。

「ALBERT・KING」
「ミスター・ブルース・パワー」アルバート・キング。彼は、サウスポーだが、弦 は左用にセットしてないので通常とは逆に一番上が一弦となり、チョーキングも押 し下げるチョーク・ダウンを駆使している。チョーキングに関しては、BB・キン グよりも表現力が豊かだと言われていたらしいが、弦のセッティング方法から独特 のニアンスが生まれたのかもしれない。また、必殺技は、2音チョ−キング。時た まEmチュ−ニングもしていたらしい。ギターは、フライングVを使用している。 名前は「ルーシー」と付けている。BBの「ルシール」と似ているが、自分の方が 早く付けたと語っていた程、負けず嫌いのようだ。

「ELMORE・JAMES」
エルモア・ジェイムスは、生ギター+ピック・アップという手段でギターをエレク トリック化し強烈なサウンドを生んだという。クラプトンのアルバム「フロム・ザ ・クレイドル」でもエルモアバージョンの曲が2曲入れられている。1曲目と12 曲目がそれだと思うが、オープンD♭チューニングでのスライドは、エルモアバー ジョンの完コピらしい。力強いスライドは実に心地よい。
エルモアの初期作品では、今となってはブルーススライドの王道フレーズのボトル ネックの3連弾きを多用している。あれって、スピード感があって使えるフレーズ です。私もたまにスライド弾くけど、よく使ってます。 

「MUDDY・WATERS」
エレクトリック・ブルースを確立した「マディ・ウオーターズ」。デルタのアコースティク・ブルー スをエレクトリック化して伝えた偉大なギターリストであり、ブォーカリストだ。最初彼の魅力に圧 倒されたのはアメリカではなく、イギリスの若者だったと言う。彼が初めてイギリスで演奏した時、 ボリュームの大きさに驚いて一列ごとに後退し、ついには男子トイレに避難したと言う。「イギリス 人には、俺の歌はうるさすぎるらしい。」とツアーを終えたマディは語った。1962年に再度イギ リスツアーをした。前の事もあり、アンプなしのアコーステックギターだけで演奏しようとした時、 観客からアンプはどうしたんだって叫ばれた。彼は、「前回うるさいと言われたから今回はなしだ。 」と答えた。その時、イギリスの状況は変わっていた。マディの曲をイギリスの若者達がギンギンに やっていたのだ。「なんだかさっぱり分からん国だ」とマディは思ったらしい。彼の曲からグループ 名をとった「ローリング・ストーンズ」に対して、マディは「”I・JUST・WANT・TO・MAKE・LOVE・TO・ YOU”を聴いて、初めて彼らの事を知った。アメリカ人だって、あの曲でほとんどが俺の存在を知っ たようなもんだ。」と語っている。マディのエレクトリック・ブルースが世界の音楽を変えたと言っ ても過言ではないと思う。

「HOWLIN'WOLF」
左の写真は、ハウリン・ウルフが1971年にロンドンに渡り、クラプトン、ビル ・ワイマン、チャーリー・ワッツ、スティービー・ウインウッドらとセッションし て作られたアルバム「ロンドン・セッション」だ。ハウリン・ウルフのブォーカル が強烈で、クラプトンのギター影が薄い。面白いのが、後半の2曲「THE・RED・ ROOSTER」で、クラプトン他メンバーに、ウルフ自らスライド・ドブロを弾きなが ら曲を教えようとしている。スライド・テクニックとフィーリングが素晴らしすぎ て、とても真似できないというリハーサル・テイクが納められている。

「BADDY・GAY」
クラプトンのインタビューで「スライドで狂気を表現するにはどうしても無理があ るよね。俺がバディ・ガイに夢中になった時、どこに魅力を感じたかと言うと誰か に人差し指でつつかれているみたいに感じる狂気に満ちたプレーなんだ。凶暴なス ターカットなんて絶対スライドじゃ表現できないからね。」と語っているように、 彼本来のギターには狂気が含まれている。前出のマディ・ウオーターズのバンドに も参加していた時期がある。左の写真は、クラプトンやジェフ・ベックなどが参加 している「アイ・ゴット・ザ・ブルース」というアルバム。

「JIMI・HENDRIX」
ロックファンなら、知らない人はいないだろう。「紫のけむり」のイントロはエレ キを手にしたら一度は弾いてみたいフレーズだし、「ウッド・ストック」のアメリ カ国歌をギターで演奏する狂気は圧巻だ。私の友人も、別の曲を弾きながらミサイ ル音や爆音を真似て出していた。クラプトンが初めて彼に会った時、いきなりハウ リン・ウルフの曲をプレイしだした。「とにかく、ぶちのめされた。俺の心の中に ”すごいよ。俺はあんたみたいになりたいと思ってたんだ。”と言って駆け寄りた かったのだけど、とんがってた俺は、何も言えなかった。でも、完全に彼のプレー にイカれたね。」と当時を振り返りクラプトンは言っている。
上の写真は、トリビュート・アルバムで、色々なミュージシャンがジミヘンの曲を演奏している。ク ラプトンは、「ストーン・フリー」を熱演。クリーム時代に近いギターの迫力がある。クラプトンフ ァンなら、特にクリームが懐かしいあなたにお勧め。これ1曲しか入ってないけど買う価値あり。

「ROBERT・JOHNSON」
ロバート・ジョンソン、彼の影響を受けたのはミュージシャンは、クラプトンの他 ストーンズ、ビートルズなど枚挙に暇がない。彼のCDを聴いてぶっ飛んだのが、 「これ本当に一人で弾いてるの」と言うギターテクだ。指引きならではの低音弦 でのリズムと高音弦のリフ、ハーモニーなどが同時演奏が繰り広げられる。親指 にはサム・ピックをはめていて、これがパワフルなサウンドを生んでいるらし い。チューニングは、レギラー、オープンG、オープンD係を使っている。あの 「クロスロード」はオープンG、カポ4で弾いていた可能性が高い。音が悪いので 良く聞き取れない部分もあるが、まさに天才ブルースマン、その奏法は真似しよう としても私なんかでは上手くいきません。でも、悪魔と取引して有名にはなったが27歳で死んじ ゃった。悪魔は怖い。映画の「クロスロード」でも言っている。
彼のギターを聴いて、勉強になったと言うより、自信が無くなりました。でも、ギター1つでこんな に素晴らしいブルースが弾けるんだと言う事を知りました。くれぐれも悪魔と取引しないように。

「DUAN・ALLMAN」
アルバム「LAYLA」で、セッションした「オールマン・ブラザーズ」のギタリスト。1971 年彼が24歳の時、バイクによる交通事故で他界してしまったが、彼のスライドギターは現在でも 新鮮さを保っている。クラプトンが初めて彼に会ったのは「LAYLA」レコーディングの時だ が、彼の人間性やギター・プレーに惚れ込んだクラプトンは当時を振り返り「彼をスタジオ内に引 き留めようと、あの手この手を考えてさ。”俺達ちこんなことやっているんだ。あんたこれ知って るかい。”ってね。もちろん、彼が知らないことなんか何もなくてさ。俺が持ちかける事は全部実 現したよ。「ハイウエイへの関門」や「誰も知らない」はほとんど1stテイクか2stテイクで OKだった。彼がいつかオールマン・ブラザーズに戻ってしまうと分かっていても、俺は彼を奪い たい!って言う衝動に駆られた。でも、彼から宣告を受ける日はやってきた。女との別れに似てた ね。”俺はオールマン・ブラザーズと結婚しているんだ。これ以上君たちといるわけにはいかな い。”ってさ。失恋の痛手は大変なものだった。」と言っている。バンドをやっていると、他人に 触発されて自分の力以上のものが発揮される時がある。演奏中は、恍惚にひたり、自分でも後でテ ープを聞いてビックリする。テクは実力以上の発揮はほぼ無理だが、間とかノリが抜群に良いの だ。バンドが一体になった瞬間だと思う。この気持ち良さがあるから、バンドは辞められない。ク ラプトンもディアンのギターに触発され続けたかったのではないだろうか。
アルバム「LAYLA」やディアンの「アンソロジー」を聴くと、クラプトンの気持ちが良く分か る。お薦めのアルバムだ。