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O−157 問題の波紋(前編)

〜O−157の意味するもの〜


 咋年の夏に猛威をふるった病原性大腸菌O−157。学校給食に集中的に被害が出たのは、一体何を意昧しているのか。私たちにとって身近な学校給食の問題を掘り下げ、現代人の食の問題について議論しようということで始まったパネルディスカッション。(紙面の都合で前編・後編の2回に分けて報告させていただきます。)


[学校給食の現場から](霞ケ浦聾学校栄養士の山口清美さん)

 学校給食には「センター方式」と「自校方式」の2種類があります。前者がO‐157で問題になったもので、数校分の何千食という給食を一度につくる方式です。十数人の栄養士さんがいて、献立の立案・発注は3カ月前にしなければならず、手作りのコロッケを出すのはとても無理だそうです(山口さんの学校は「自校方式」なのですが、「こうしたらいいんだよ」と生徒さんに働きかけることは難しいということで、TT(チーム・ティーチング)による10分ほどの授業をしたり、休み時間に生徒をつかまえては話しかけるなどの努力をなさっているそうです。
 また、昨年の6月28日に茨城県でもO‐157が発生すると、保健所・県の方から指導がきて、夏の暑い時期本来は生野菜を使いたかったが、文部省の「生ものはいけない」という通達もあり、メニューにはだいぶ苦労されたそうです。
 そして、給食室は壁までも掃除をし、使い捨ての手袋・マスク・塩素消毒など徹底した衛生管理か行われたほか、家庭に対しても小さい子どもが手を洗った後、ものにさわらないように指導が行われたようです。


[よい学校給食とは]〈水戸食べものの会・海老沢とも子さん)

 海老沢さんが食べ物に人っていったきっかけは、お嬢さんを0歳で保育園に入れたとき、子どもたちかプラスチックほ乳ビンをくわえさせられていたことだそうです。聞いてみると、「ガラスビンだと保母の過重労働になるから(プラスチックのものだと自分で飲む=自立?)」ということで子どもたちに最良の保育をしている保育園だというから入れたのに。
 海老沢さんはそういった「驚き」と「疑問」をミニコミ紙にして発行しました。その結果、保育者(決める人)と父母(要望する人)の関係が近くなり、子ども達のためにどうするのがよいかという共通認識が得られるようになりました。そして、3年後の卒園式の時にはガラスビンに変わっていました。大切なのは、「あきらめない発信者がいる」ということだそうです。発信すると受信者があらわれるから……。

〜こんな給食だったらいいな〜
 自校方式がなぜよいのか。「音がする」「匂いがする」「子どもたちが感じる」ことができる。食べるのが給食。そして作るのも給食。みんなで楽しい気分が味わえるからおいしい。与えられて食べなきゃいけないというイメージを変えなければならない。もうそろそろ「給食」じゃない呼びかたを……とおっしやる海老沢さんでした。
(文責=中島亮)

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