//世界と夢幻//
my energy source
夢で見た、青く透き通った柱に支えられたあの街のことを、僕は未だ鮮明に覚えている。夢にしては異常にリアルでその場の自分や周囲の人々の肉体の存在を疑えなかったが、同時に青と緑と古代紫とオフホワイトと黒い三角に囲まれ空中に浮いているという現実離れした美しさを誇る街。僕は自分自身の想像力に驚嘆するとともに、スウェーデンボルグやゲーテやユングら神秘主義者達がが言っていた「内界」とはこの事かと了解した。それは本当に素晴らしかったので、現実世界のほうに戻ってきてもなお気力を活性化させてくれた程だった。実際にあれが「内界」だとしたら、何かを見いだした時、何かを遂げた時に、あそこに戻れるのかもしれない。だから僕は、もう少しは頑張れる。
映画『耳をすませば』の中に出てきた異郷“イバラード”は大阪・茨木市の変容だそうだが、観たときに唖然とした。あそこにあの街の“柱”が描かれている(断じて言うが、僕の夢に出たほうが早い!……って、「イバラード博物誌」には僕よりずっと以前にこの“柱”があったんだけど、僕との接点はない)。覚えているかどうかは別として、意外にもかなりの人々が、実はアレを見、アレに立ち、アレの空気を吸っていたのかもしれない。夢はかくも不思議なものか。
こういう場所を実体化させよ、という電波でも流れたのかもしれない。たまに忘れそうになるが、この世界は今でもやっぱり自分達で日々更新されているのは疑い様がないから。自殺の自由がある以上、選ばされた世界観というものは本当には存在しない。
いずれにせよ、現実を作るのは現実的努力だが、その原動力はしばしば夢幻であるという極く当たり前なことを思い出した僕だった。
thanks for N.Inoue