//天使化願望//
possiblity
何か頑張ろうと思ったときは何故か“翔んだる”と思う癖が、いつの頃からか抜けてくれない――恥ずかしい限りなんだけど。僕のナルシスなレベルは、生きる上での必要最低限を割り込むぐらい低くなることもあるから、それ程高いほうじゃないと断言できる積もりなのだが(皆が皆、病気でもないのに常に死と隣り合わせに生きてはいない筈だ)。
それで、更に面倒なことに“翔んだる”と思ったときは大抵、背中の透明な翼で大きく一回空気を打っているようなイメージを描く。ばさっ。こうしてから作業を“背伸び”して行い始める。虚構への恥か、不安への適応か、決意の確認か、単に幼稚なのか。幼稚な気がする。
更に、好きな映画No.1は未だに「ベルリン天使の詩」だったりする(白黒、静止した空気、不可視、コロンボ、深めの精神的な愛、雪解けの頃の空気、図書館、ふふ……何も言うことないじゃん(危険)。リメイク版(city of angel)は最悪のクソだけど)。俺達は翼じゃなくて足が生えてるし、足には毛も生えてる生々しくもおぞましい存在だってのに。一体どうしたらいいものやら。
僕にとっての音楽制作――しょせんコピー屋なんだけどさ――は、実の処こんな感性の延長だったりする。芸術の中でも最も肉体を感じさせない音楽で、更に声(「歌」、声が楽器になる程のレベルを持ったものは違う――Enyaやadiemusや矢野顕子や泉川そら)の入っていない曲こそ好きで。そういうのを聴くと、全身で水を吸った感じで生気が戻ってくる。こんな感じでココの羽根の元ネタであるMIDIを作った。
人によっては対極に配置しそうな、でもやっぱり僕は好きな騒音テクノも、忌まわしいロックに勝利する手段として選んでいるだけに過ぎないし。誰も救わない癖に下らない問題提起だけは欠かさないロックは、既に創成期のロックとは違って解放の手段にはならないだろう。未だカラダを持たないテクノには、それが出来るかもしれないけど。