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2009年02月05日(木) 02時35分

<円天事件>100億円資産隠しか 破綻後に預金急減毎日新聞

 独自の電子マネー「円天」などを売り物に資金を集めた健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区、破産手続き中)が、破綻(はたん)状態になった06年夏ごろから1年間に、所有資産が約100億円減少していたことが、破産管財人の調査で分かった。この時期には、グループ会社や波和二(なみかずつぎ)会長(75)への貸し付けが急増し、行方が分からなくなっていることから、警視庁などの特別捜査本部は、波会長らが計画的に資産を隠した疑いがあるとみて調べる。【武内亮、町田徳丈】

 捜査本部は、波会長ら計22人を、5日に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕する方針を固めた。

 破産管財人によると、06年6月期の現金と預金の残高は計101億3000万円あったが、07年同期は1800万円で100億円以上急減していた。

 その一方で、NPO法人を含むグループ4社と波会長らへの貸付金は、逆に約28億8000万円増えて90億7500万円になっていた。この時期は、会長報酬が年6600万円から1億円にはね上がり、役員だけで2年間に4億円に上っていたことも既に明らかになっている。

 裁判所はL&G資産の保全命令を出しているが、破産管財人によると、波会長らへの貸付金のほとんどの行方が分からなくなり、回収できない状態になっているという。破産管財人は「06年以降も多額の資金を集めていたのに、現金や預金が大幅に減ったのはおかしい」と指摘している。

 L&Gは01年、「1口100万円を出資すると3カ月で9%の利息を支払う」などと、「協力金」名目で出資を募り始め、05年からは出資に応じて電子マネーの「円天」を携帯電話に送り、自社が運営する市場などで買い物ができると人気になった。ところが、06年夏ごろには約460億円の債務超過に陥り、経営が行き詰まった。07年2月、会員に対し、現金での配当を打ち切り「円天」で配当すると一方的に通告したため社会問題化。それでも同年10月の家宅捜索直前まで資金集めは続いていたという。

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