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2009年02月05日(木) 00時00分

少年事件の模擬裁判…少年院か刑務所か、厳しい意見が大勢読売新聞

 5月に始まる裁判員制度に向け、強盗致死罪に問われた少年の事件を題材にした模擬裁判が4日まで3日間、東京地裁で行われた。

 刑事罰を科すかどうかが争点となったが、裁判員役の人からは「被害者が亡くなっており、少年の更生ばかり考えることは許されない」など厳しい意見が相次いだ。殺人などの重大事件を犯したとされる少年が、家裁から検察官に送致(逆送)され、起訴されると、成人と同様、裁判員裁判の対象となる。

 審理されたのは、18歳の少年が、タクシー運転手の男性をナイフで刺して死亡させ、現金約8700円を奪ったという想定の事件。

 2日に始まった模擬裁判では、少年が起訴事実を認めたため、懲役刑を科すか、家裁に再度移送して、保護処分とするかが争点になった。弁護側は、少年に対人関係を築きにくい発達障害があったとして、「更生を図るには少年院で教育的な指導をすべきだ」と主張。検察側は「少年刑務所でも教育は十分可能」と反論し、無期懲役を求刑した。

 計約3時間にわたった最終評議では、裁判員から「刑務所で作業させるだけでは立ち直りにつながらないのでは」との意見も出たが、「保護処分は被害者の立場からすると納得がいかない」「どれだけ重い罪を犯したのか、償ってもらいたい」と厳しい声が大勢を占めたため、刑罰を科すことに。懲役5年以上10年以下の不定期刑に決まった。

 裁判員役の主婦(46)は「自分なりの判断基準を持つことは難しかった。生い立ちに悲しいところがあったが、人の命を奪ったことは重い」。弁護人役の斎藤義房弁護士は「一般の人になじみの薄い少年法の考え方や、少年院と刑務所の違いなどを、3日間の審理で理解してもらうのは難しい」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090204-00000077-yom-soci