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2009年01月28日(水) 14時41分

施政方針演説 麻生首相、小泉構造改革路線から転換毎日新聞

 麻生太郎首相は28日午後、衆参両院本会議で就任後初の施政方針演説をした。景気対策を喫緊の課題と位置付け、「世界で最初にこの不況から脱出することを目指す」と表明。小泉構造改革路線について「官から民へといったスローガンや、大きな政府か小さな政府かといった発想だけでは、あるべき姿は見えない」と指摘し、路線転換を明確にした。消費税率の引き上げ時期については、経済状況の好転を前提に「2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」と触れ、実施時期の明言は避けた。

 ◇消費増税、実施時期の明言避ける

 首相は冒頭、世界の中で日本が果たすべき役割を「新しい秩序創(づく)りへの貢献」、日本が目指すべきは「安心と活力ある社会」と指摘。開国と明治維新、そして敗戦と戦後改革に続く「3度目の変革を迫られている」とし、「急速な少子高齢化、新たな格差や不安、資源や環境の制約」などを乗り越えなければならないと訴えた。

 景気の悪化に対して「異常な経済には、異例の対応が必要」として、約75兆円規模の経済対策を説明。日雇い派遣の原則禁止など労働者派遣制度の見直しや雇用創出により「3年間で160万人の雇用増」を目指す。大胆な財政出動や社会保障給付に対する国民負担の必要性に言及。「中福祉・中負担」の社会を目指し、景気回復や行政改革を進めたうえで国民に必要な負担を求める考えを示した。

 消費税を含む税制抜本改革については、経済状況の好転を前提に「遅滞なく、かつ段階的に行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」とした。実施時期は「経済状況をよく見極めて判断する」と述べるにとどめた。政府が23日に閣議決定した09年度税制関連法案の付則の表現を反映したもので、11年度からの増税を強く示唆していた当初案からは後退した。

 外交面では、オバマ米大統領と日米同盟をさらに強化し、金融危機やテロとの闘い、気候変動問題で連携する考えを表明。ソマリア沖の海賊対策については「実行可能な対策を早急に講じ、新たな法整備を検討する」とし、現行法で対応できる海上警備行動と新法による2段階で対応する方針を示した。

 演説は8467文字で、1982年の通常国会で首相の義父、鈴木善幸首相(当時)が行った7393文字以来の短さとなる。【坂口裕彦】

 【ことば】▽施政方針演説▽ 毎年1月召集の通常国会で、首相が内閣を代表し衆参両院本会議で行う演説。内政、外交の国政全般について、内閣の基本方針を説明する。これに対して所信表明演説は、臨時国会、特別国会の冒頭や、会期中に首相が交代した際に、首相が国政に対する考えを示すもの。慣例的に使い分けられている。施政方針演説に続いて外相の外交演説、財務相の財政演説、経済財政担当相の経済演説が行われ、合わせて「政府4演説」と言われる。

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