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2009年01月21日(水) 08時47分

オバマ新米大統領、新時代構築と大胆かつ迅速な行動を表明ロイター

 [ワシントン 20日 ロイター] 米民主党のバラク・オバマ前上院議員(47)は20日正午、ワシントンの連邦議会議事堂前での就任式で宣誓し、第44代大統領に就任した。米国史上初のアフリカ系(黒人)大統領が誕生した。
 新大統領は宣誓後の就任演説で、国家の再建に向け責任ある時代を築こうと訴えた。
 「この日から、われわれは自分で起き上がり、自らの埃を払いつつ、米国の再生という仕事に再び取り組み始めなければならない」と語った。
 議事堂前には就任式を目の当たりにしようと全米各地から駆けつけた数十万の市民であふれた。宣誓に際し、オバマ氏はリンカーン大統領が1861年の宣誓で用いた聖書に自らの手を置いて宣誓を行った。
 演説では、過去の奴隷制度や人種差別のなかで「むち打ちや辛い耕作を耐え忍んだ」人たちによって米国は築き上げられてきたと指摘。さらに経済は極めて弱体化しており、大胆かつ迅速な行動をとると確約、8250億ドル規模とみられる景気対策を最優先課題とする意向を示した。
 ただ演説では経済危機への具体的な内容は盛り込まれず、米国株式市場では、演説後に下げが拡大した。
 <ささいな不満に終わりを>
 国民の広範な支持や期待とともに大統領に就任したオバマ氏だが、演説では、現実に目を向けることでそうした期待の高まりを抑えようとする姿勢も見え隠れした。
 米経済が過去70年間で最悪の状態に置かれていることや、イラク・アフガン戦争などを通じて米国は危機に直面していると強調。その上で、これまで米国民を分断してきた「ささいな不満(petty grievances)」に終わりを告げる時期が来ていると訴えた。
 「今われわれに求められていることは、責任ある新時代を築くことであり、米国民が一人一人、自分自身や国家、世界に対して、嫌々ながらでなくむしろ喜んで責務を担っていくことだ」と語った。
 経済については「欲望や無責任」や、困難な選択を回避したことによって支障が生じたとし、経済の建て直しを約束すると表明。経済危機を通じて、注意していないと市場は制御不能に陥る可能性が明らかになったとした。経済の繁栄はさらに幅広く共有される必要があるとした。
 リセッション(景気後退)の煽りで財政赤字は1兆ドルに膨らみ、1100万人が失業する状況のなか、景気対策は必須の課題となっている。 
 <再びリードする立場へ> 
 対外政策としては、米国が「責任を持って」イラクから撤退し、アフガニスタンの和平獲得を支援すると表明した。
 イラクからの具体的な撤退時期については明らかにしなかったが、米軍は2011年末までにイラクを撤退することで米・イラクは合意。またオバマ氏は、武装勢力タリバンの阻止に向け、これまでにアフガニスタンへの増派を表明している。
 さらに海外へのメッセージとして「米国はそれぞれの国や人々、そして将来の平和と品格を求める子どもたちの味方であることを知ってほしい。米国は再びリードする立場へ向かう備えがある」と語った。
 9・11同時多発攻撃やテロとの戦いを経て、イスラム教徒との融和を表明。相互の理解や尊重に基づく新路線を模索していくとした。一方、テロについては、ためらうことなくこれを防護しつつ、テロを打破していくと述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090121-00000828-reu-int