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2008年12月31日(水) 03時05分

刑務所で実刑の一部→保護観察所で更生教育…新制度導入へ読売新聞

 法務省は30日、懲役や禁固の実刑の一部を執行した後に残りを猶予する「一部執行猶予制度」を導入する方針を固めた。

 実刑と執行猶予の間に中間的な処遇を設け、落差を緩和する狙いだ。

 執行猶予を受けている保護観察の対象者に、公共施設の清掃などを無報酬で行わせる「社会奉仕命令制度」も導入する。2009年中に法制審議会(法相の諮問機関)で答申をまとめ、早ければ同年秋の臨時国会に刑法や更生保護法などの改正案を提出する。

 現在の執行猶予は、期間内に犯罪行為をしなければ刑を執行されない制度だが、一部執行猶予制度は刑務所で一定期間を過ごした後、残りの刑期は保護観察所などで更生するための教育を受ける仕組みだ。この間に犯罪行為がなければ、刑務所に戻ることはない。

 社会復帰に備え、社会で生活しながら準備を整えさせるのが目的だが、刑務所の過剰収容に歯止めをかける狙いもある。覚せい剤取締法違反のように、社会復帰の前に、社会の中で「抵抗力」を身に着けさせる必要があるような受刑者への適用を想定している。

 社会奉仕命令制度は、立ち直りが見込まれる保護観察対象者を選び、公園清掃や落書き消去などを無報酬で行わせる仕組みだ。ボランティア活動への参加で更生のきっかけをつかませ、再犯防止にもつなげることを目指している。

 両制度は、06年7月に当時の杉浦正健法相が法制審に諮問し、担当部会で検討していた。法務省は年明けに試案を作成し、同部会に提示する予定だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081231-00000005-yom-soci