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2008年12月31日(水) 06時02分

三浦元社長 謎と共に去りぬ…報知社会面大賞2008スポーツ報知

 2008年の社会面を、最もにぎわせたのは? スポーツ報知は社会面大賞選考委員会を開き、本紙社会面を振り返って記事の登場回数や大きさ、反響などから独自の「報知ポイント」(HP)に換算し、審査した。大賞には、サイパン島で2月に米当局に逮捕され、10月に自殺(弁護側は他殺を主張)した三浦和義氏(享年61歳)。2位には米国史上初の黒人大統領となるバラク・オバマ氏(47)。昨年1位の東国原英夫宮崎県知事(51)は7位に後退した。今年から殊勲、敢闘、技能の三賞も勝手に選定した。

 元号が「昭和」から「平成」に変わって20年目。08年は、良くも悪くも、消えゆく昭和の面影を思い起こさせる出来事が多かった。

 昭和60年前後のワイドショーを独占した「ロス疑惑」が、これほどまでによみがえる1年になるとは…。すでに5年前に最高裁での無罪が確定していた三浦氏の逮捕から死までの一連の騒ぎは、昭和を思い出させる代表的な出来事だった。三浦氏が新聞の1面を飾る年になることを、08年の始めにいったい誰が予測しただろうか。

 2月22日(現地時間)、サイパン島の空港での米当局による逮捕。これだけでも衝撃は大きかったが、大賞を決定づけた事件は10月10日、ロサンゼルスに移送された直後の首つり自殺だ。遺書もなく、動機も不明。遺族や支援者からは、自殺発表に疑念を持つ声が上がった。真相は闇の中へ。没後も世間の関心を引き続ける三浦氏に匹敵する存在感を示した人物は、皆無といっていいだろう。

 2位も舞台は米国。米大統領選での勝利を飾ったオバマ次期大統領がランクインした。黒人大統領誕生は昭和時代には考えられなかったこと。マルコムX(65年没)、キング牧師(68年没)ら黒人指導者が暗殺されたころからは、隔絶された時代に入ったといっていいのかもしれない。5位に登場したヒラリーは、結果的には引き立て役となった。さしずめ“助演女優賞”といったところか。

 政治的、あるいは金銭的な狙いが明確な場合が多かった昭和の殺人事件と比べ、理解に苦しむ凶悪犯罪が増えた。6月に秋葉原連続殺傷事件、11月には元厚生事務次官ら殺傷事件が起きた。不況が進み、将来に対するぼんやりとした不安が募る社会に衝撃を与えた。

 不安な時代だからこそ、政治家のリーダーシップに期待したいが、政界はねじれ国会もあり、混迷を極めた。9月、改造をしたばかりの福田前首相(8位)が辞任。前任の安倍元首相に続き「放り投げ」と批判された。

 期待されて登場した麻生首相は、9月の首相就任前後から猛スパートをかけ、3位にランクイン。ただ、「踏襲」を「ふしゅう」、「未曽有」を「みぞゆう」と読む「KY(漢字読めない)」ぶりに加え、失言や豪遊問題、政策面でも迷走…と頼りない時に限って紙面に登場する機会が多かった。昭和を代表する政治家である祖父・吉田茂元首相の在任日数は2616日。来年の総選挙を控える麻生首相が、どこまで近づけるかは未知数だ。

 人間ならば成人式を迎えた「平成」。「昭和」から引き継ぐべきものは、成熟したといえるのだろうか。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081231-OHT1T00055.htm