【エルサレム31日共同】イスラエルのオルメルト首相は三十日夜、フランスが提示したパレスチナ強硬派ハマスとの四十八時間停戦案についてバラク国防相、リブニ外相と協議し、拒否することを決めた。軍は三十一日も空爆を続行する一方、政府は国防相が招集できる予備役の数を、二十八日に承認済みの六千五百人から二千五百人増やすことを決定。地上侵攻の可能性をちらつかせ、ハマスへの軍事圧力を強めている。
リブニ外相は一月一日にフランスを訪問、フランスのサルコジ大統領は同月五日にイスラエルを訪問して停戦を含むガザ情勢を協議する予定。欧州連合（ＥＵ）は三十日、パリで開いた緊急外相理事会で、近く閣僚級の代表団を現地に派遣するとの声明を出し、紛争仲介の動きが活発化してきた。
ロイター通信によると、二十七日の大規模空爆開始以来のパレスチナ人死者は計三百八十五人となった。
イスラエル外務省報道官は停戦案拒否について「ハマスに停戦を守らせるメカニズムがないのにイスラエルに停戦を期待するのは非現実的だ」と述べた。
ハマスは三十日夜から三十一日にかけ、ガザから約四十キロ離れたイスラエル南部の中心都市ベエルシェバに初めてロケット弾を撃ち込んだ。けが人はなかったが、ハマスの攻撃能力の向上をあらためて示した。軍はハマス政権のハニヤ首相の自宅やガザ南部のエジプトとの密輸用トンネルなどを空爆した。
フランスのクシュネル外相は外相理事会に先立ちバラク国防相と電話会談し、四十八時間停戦を提案した。イスラエル放送によると、イスラエル指導部の協議でバラク国防相は受け入れを支持したが、オルメルト首相とリブニ外相が反対した。
▽速やかな攻撃停止を要請
麻生太郎首相は三十一日午後、イスラエルのオルメルト首相と電話会談し、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの空爆に関し、速やかに攻撃を停止するよう要請した。