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2008年12月31日(水) 01時17分

<ガザ空爆>負傷者「市民に被害」証言毎日新聞

 「イスラエルはガザの若者全員を殺りくしようとしている」。イスラエルのガザ空爆でエジプト側に搬送された患者や家族が訴えた。患者らは30日、イスラエルの標的がイスラム原理主義組織ハマスを越え、一般住民へと拡大していると強調した。【イスマイリア(エジプト・スエズ運河西岸)高橋宗男】

 ガザとの境界から約200キロ南西のエジプト・イスマイリア。「やつらはモスクを破壊した」。30日午後、スエズ運河大学病院に運び込まれたガザ地区の警官、ムハンマド・ケトナリーさん(29)は、苦痛に顔をゆがめた。

 イスラエル軍は27日午前に約30カ所への同時空爆を始めた。ケトナリーさんは若手警官を訓練中だった。後輩の多くは死亡した。

 同じ警官のラシャド・アブフジャイヤさん(22)は警察庁舎で空爆を受けた。がれきの下敷きとなり両足は粉々に砕け、一緒に朝食をとっていた同僚6人は死亡したと聞かされた。エジプトに搬送後、それまで入院していた病院が空爆されたと知った。「連中はモスクで礼拝中の人たちも空爆した。ハマスを支持する市民はみな標的にしている」と、イスラエル側の「無差別攻撃」を非難する。

 イスラエル側はハマスが標的と強調するが、市民の被害は明らかだ。警察署向かいのイスラム大学に通うムハンマド・ハティーブさん(22)は友人5人とともに警察署を狙った空爆に巻き込まれ、友人3人は死亡した。

 父親のハフェズさん(59)は「若者たち全員が狙われている。イスラエルはパレスチナの将来を担う世代の抹殺を進めている」と語り、息子をいたわった。

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