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2008年12月31日(水) 19時58分

大阪・熊取の「吉川友梨さん行方不明事件」 忽然と消えた少女は今…産経新聞

 5年前の5月、1人の少女が忽然と姿を消した。大阪府熊取町七山の吉川友梨さん(14)。当時は小学校4年生で9歳だった。今年12月には友梨さんの救出話をでっちあげ、家族から7000万円もだまし取った男女が逮捕される詐欺事件が発覚。比類無き事件の悪質性に関係者だけでなく一般市民にも言いようのない怒りが渦巻いた。

友梨さん詐欺男女 豪遊の果て…「5000円でいいから貸してくれ」

 ■最重要の未解決事件

 大阪府警が府警最重要の未解決事件と位置づけ、未成年者略取事件として泉佐野署に捜査本部を設置し、捜査を続ける「友梨さん不明事件」とは、どういった事件だったのか。

 平成15年5月20日午後3時ごろ、熊取町七山で、当時小学4年生だった友梨さんが突然姿を消した。社会見学からの帰宅途中。自宅から約400メートル先で同級生とあいさつして以降、友梨さんの行方がわからなくなった。

 発生から5年後の今年7月中旬、捜査本部に緊張が走った。

 「友梨さんは町内のダムのそばに埋められたのではないか」

 突然の情報提供だった。捜査員たちはスコップを手にあたりを掘ったが結局は何も出なかった。捜査員たちは胸をなでおろしたという。

 友梨さんの行方に関して寄せられた情報はこれまでに約2800件。捜査本部は、それらを一つ一つ精査して、当時目撃された不審車両の洗い出しや聞き込み捜査などを地道に進めている。

 ■目的がわからない

 5年前の5月20日、友梨さんは午後2時40分ごろに同級生3人と一緒に下校した。その日は町立北小学校の社会見学だった。自宅まで約560メートルの路上で3人と別れた。午後2時59分、自宅まで約400メートルの路上で同級生の男児とすれ違い、「バイバイ」と手を振った。

 この2分後には帰宅するはずの友梨さんが、消えた。約100メートル先の商店の近くを歩いていた親子は友梨さんを見ていない。通学路の道幅は約5メートル。車同士がすれ違うことができるかどうかという幅で見通しはよくない。同級生とすれ違ってから商店までの間に友梨さんの身に何かが起きた。

 友梨さんの性格はおとなしく、人見知りするタイプという。知らない人についていくことは考えにくく、府警は何者かに連れ去られたとみている。しかし何を目的に連れ去ったのかはわかっていない。

 友梨さんがいなくなった当日には自宅などに身代金を要求する電話はなかった。わいせつ目的についても、この付近でわいせつ目的の事件はこのころなかったという。祖父母、両親とも大きなトラブルは抱えていない。

 ひき逃げなど交通事故の可能性については発生当初の現場検証の結果、事故の痕跡は見つからなかった。

 現在、捜査の中心となっているのは当時七山地区で目撃された車の洗い出し作業。赤色の車、黒っぽい車、白いバン、白っぽい乗用車の4台のほか、友梨さんが通った自宅近くの通学路を猛スピードで横断する車の走行音を聞いている住民もいる。

 ■特別報奨金

 一方で、友梨さんの両親や地域住民、NPO法人らの情報提供を求める活動も続けられている。友梨さんが行方不明になった5月20日などさまざまな機会に駅や街頭でチラシ配りをしている。

 警察庁は19年7月から友梨さん発見に結びつく情報提供に対し、上限300万円の特別報奨金を出すことにした。期限は1年間だったが、さらに1年延長。初めて期間が延長された。

 警察OBらを主体とするNPO法人「POLICEチャンネル」のホームページ(http://www.police−ch.jp/)では、今年1月から友梨さんの情報提供を求める17分間の動画を配信。担当捜査員が友梨さんが行方不明になった当時の状況や服装などを詳しく説明している。

 情報提供は泉佐野署捜査本部((電)072・464・1234)。

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