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2008年12月30日(火) 03時04分

健康診断書偽造の業者、違法な「偽装請負」の疑いも読売新聞

 労働者の健康診断書を偽造していた神奈川県相模原市の建設請負業「トウキュウ総建」が、業務を請け負う際、「労働者の指揮命令権は契約先にある」と明記した契約書を交わしていたことがわかった。

 実態は、業務請負ではなく派遣だったことを示しており、厚生労働省は、偽装請負を禁じた労働者派遣法違反の疑いがあるとしている。

 また、発注側が請負労働者を指揮することは、職業安定法で禁じられており、同社の労働者を受け入れた企業側の責任も問われそうだ。

 読売新聞が入手した同社の「総合業務請負契約書」には、「業務中の監督、指揮命令権は甲(契約先)が有する」と記されている。請負労働者を契約先の指揮下で働かせることは、実質的な派遣にあたり、偽装請負と見なされる。

 同社では、この文言を入れた契約書のひな型を作っており、元社員らは「この契約書を使うことが多かった」と証言する。

 同社は、労働者にも「私は現場事務所(派遣先)の指示は必ず厳守いたします」と記された誓約書に署名なつ印させていたという。

 同社の佐藤淳一社長(39)は「労働者を派遣先の指示に従わせることが違法とは知らなかった。以前いた会社で、業務請負契約を結べば大丈夫と教わった」と釈明。

 東京都内の建設業者は、トウキュウ総建の労働者を受け入れ、現場で指揮していたと認めたうえで、「偽装請負になると知っていたが、みんなやっていることだ」と話した。

 建設現場への労働者の派遣は、労働者派遣法で禁じられているが、同社のグループ会社社長は、「(業務請負を装って)日雇い労働者を派遣している会社はたくさんある」と言う。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20081229-OYT1T00661.htm