財務省は30日、外国為替市場での通貨介入を12月には実施しなかったと発表した。今年も介入は1度もなく、介入ゼロの期間は4年9カ月と過去最長を更新。ただ市場では1ドル=90円前後まで円高が進んでおり、来年は円売りドル買い介入が行われるかどうかが焦点となる。
自動車業界など輸出産業からは介入を望む声が強まり、財務官経験者は「介入してもよい状況」と話すが、自国通貨安が景気にプラスとなる米欧との協調介入は困難で、日本が単独で行っても効果は限られそうだ。
円相場は年初の1ドル=109円台から、米国発の金融危機の深刻化に伴い円高が進行。3月に米証券ベアー・スターンズの救済が発表され、いったんドルが値を戻したが、9月に米リーマン・ブラザーズが破たんするとドル売りが止まらなくなり、12月に13年ぶりに87円台をつけた。
対ユーロでも、7月に1ユーロ=170円近くまでユーロが買われた後、金融危機が米国から欧州に飛び火すると反転し、12月に一時117円台となった。
来年の相場について、市場関係者の間では「80円を突破する可能性もある」「米景気が下げ止まると、100円程度に戻る」との両方の見方が交錯している。