記事登録
2008年12月30日(火) 06時01分

庭に暴走車、親子3人死亡…正月用花飾り準備中の悲劇スポーツ報知

 広島県三原市で29日、国道沿いの民家にハンドル操作を誤った乗用車が突っ込み、庭で正月飾りのためのハボタンの手入れをしていた親子3人をはねる事故が起きた。母親と4歳の次女は死亡。意識不明だった父親も搬送先の病院で亡くなった。同県三原署は自動車運転過失致死の容疑で、車を運転していた建設業の男(25)を逮捕した。

 「祝福」という花言葉を持つハボタンの花壇が悲劇の現場に—。地元名産であるハボタンを飾り、新年を迎えようとしていた一家が猛スピードで襲いかかる乗用車にはねられ、死亡する事故が発生した。

 広島県警三原署によると29日午前8時20分頃、三原市久井町の国道486号線沿いの建設業・盛谷浩二さん(51)宅の庭に、秋保輝行容疑者(25)が運転する普通乗用車が突っ込み、花の手入れをしていた浩二さんと妻・良美さん(41)、次女・里歩ちゃん(4)の3人をはねた。

 家の中にいて無事だった小学4年の長女(10)が「庭に出たら、みんなが倒れていた」と119番。親子3人は病院に搬送されたものの、脳挫傷や内臓破裂、外傷性ショックなどで死亡した。秋保容疑者は軽傷だった。

 三原署は秋保容疑者を自動車運転過失致死の疑いで逮捕し事情を聞いている。動揺し落ち込んでいるという容疑者は、同町内の実家に広島市から帰省していた。

 現場は、見通しのいい片側一車線の国道。同署は容疑者の呼気からアルコール反応がなく、路面にブレーキ痕が残っているため、事故原因を飲酒や居眠り運転ではなく、盛谷さん宅を越えた地点にある交差点を左折しようとした際のハンドル操作ミスとみている。幅約1メートルの歩道と庭の間には塀や生け垣がなく、走行車を視認することが出来るため、かなりのスピードが出ていた可能性が高いという。

 桃色の花びらと緑の葉のコントラストが美しいハボタンの産地で、正月の生け花に用いる風習がある久井町では、事故の衝撃が広がっている。事故の約30分前に現場を通った男性は「和気あいあいと庭で花壇を作っていた。休日ののんびりした雰囲気だったのに…」と肩を落とした。別の男性は「『ドーン』という音を聞いてビックリした。お父さんを手伝うかわいい里歩ちゃんの姿をよく見た。仲のいい家族だったのにかわいそう」と声を詰まらせた。夏には、現場となった庭でバーベキューを楽しむ盛谷さん一家の姿が見られたという。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081230-OHT1T00057.htm