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2008年12月30日(火) 09時58分

短時間で病気の原因分子検出中国新聞

 がんやアレルギーなどあらゆる病気の原因となる細胞内の分子の変化を、従来より短時間で幅広く検出できるシステムを、広島大大学院医歯薬学総合研究科(広島市南区)の升島努教授(生命解析科学)らが開発した。分子変動から病気のメカニズムに迫り、新たな薬剤開発や治療への活用が期待される。

 細胞内に無数にある分子を溶媒とともに微細な霧にして、検出用機器へ吹き込む技術で実現した。がんなどを患った細胞が1個あれば原因の分子を検出できる。

 開発したシステムは、先端が数ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1)の針「ナノスプレーチップ」を細胞に突き刺して分子を吸引。高電圧をかけて有機溶媒と一緒に検出用の質量分析器へ噴射し、分子の量や種類を見分ける。

 升島教授によると、これまで検出できなかった構造の小さな分子を含めて1000種類以上の分子の信号をキャッチ。健康な細胞と比較し、病気の発症にかかわる分子を数時間で割り出すことができる。

 従来の方法は、数万個以上の多量の細胞をすりつぶし、分離器で分子をより分けて検出するのが主流。数種類の分子をとらえるのに1週間以上かかるうえ、小さな分子の判別は困難だったという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812300066.html