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2008年12月30日(火) 09時58分

福山ロケの障害教育映画復刻中国新聞

 全国に先駆けて保育所から中学まで難聴学級の一貫設置を実現した福山市の先進的な障害教育をモデルに、難聴の子どもを育てる若い夫婦の愛情と葛藤(かっとう)を描いた福山ロケの映画「泣きながら笑う日」(1976年)を2009年春にDVD化する計画が進んでいる。約30年前、福山市民と政財界の情熱で実現した「ご当地映画」。現存するフィルムも老朽化が進んでいることから、福山市社会福祉協議会が「復刻」を決めた。

 難聴児の父で映画館経営藤本興業(現フューレック)社員だった故西馬孝夫さんが、障害者問題に詳しい松山善三監督に映画制作を依頼する手紙を出したのが制作のきっかけだった。

 保護者や医師と交流を深める中、松山監督は映画化を決断し、自ら脚本を書き上げた。76年10月から市内でロケを行い、芦田川や福山駅前、NKK(現JFEスチール)、阿伏兎観音などが印象的に登場する。坂本九と大谷直子が夫婦役で主演し、緒形拳、高峰秀子、小林桂樹らが脇を固めた。難聴学級の授業風景を盛り込み、市民も出演した。

 DVD化は松山監督の了解を得て、フューレックが保管する35ミリフィルムを使う。難聴者にも楽しんでもらえるよう日本語字幕を入れる。非売品として約100枚を制作し、市内の図書館などに配る。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812300024.html