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2008年12月30日(火) 09時58分

広島の私学、生き残りに懸命中国新聞

 年が明けると、高校入試シーズンがやって来る。少子化の影響で私立の各校が生徒の募集に苦心するのは全国共通だが、広島県ではかつてなら大学進学をにらんで私立を志望した受験者層を、学力向上に力を入れ始めた公立が吸収している。危機感を募らせる私立各校は、生き残りをかけた特色づくりに懸命だ。

 「高校受験で私立が第1志望の生徒は今やほとんどいない。私立優位の時代は終わった」。広島市内の塾関係者は現状をこう言い切る。

 1998年の文部省(現文部科学省)の是正指導を機に、公立高は「競争」重視へと転換。これまで私立が特色とした進学指導を前面に押し出す学校が一気に増えた。加えて総合選抜や学区の廃止、推薦枠の拡大などの制度改革で、受験生の選択肢が広がった。その流れに対応するかのように、中学を併設する私立校では、高校入学の募集を停止または定員を削減し、一貫教育を強化する動きが現れた。

 しかし、かつては広島大の付属校を除けば私立の「専売特許」だった一貫教育も公立に広がった。04年、県立広島中・高(東広島市)と福山市立福山中・高が開校。一貫教育を受けた生徒が大学受験に挑むのは来年度だが、進学指導態勢の強化によって高校からの入学者の学力も向上。県立広島は東京大合格者を今春4人出すなど、私立進学校と実績で肩を並べ始めた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812300035.html