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2008年12月29日(月) 22時28分

「軍事区域だ、退去せよ」…戦車の砲身ガザにらむ読売新聞

 【エシュコール(イスラエル南部)=福島利之】うなりをあげる戦車、遠くで響く爆発音−−。

 イスラエル軍の空爆が続くパレスチナ自治区ガザに隣接するイスラエル南部エシュコール地区は、砲身をガザに向けた戦車数十台が集結し、「侵攻間近」を思わせる緊張感に包まれていた。

 「ここは軍事区域だ。すぐに退去しなさい」

 ガザとの境界付近に向かおうとした記者(福島)は、軍の臨時検問所でイスラエル兵に制止された。軍は29日、ガザとの境界付近を「軍事区域」に指定。民間人や一般車両などの立ち入りを禁止している。

 周辺には戦車や装甲車など地上部隊が展開。軍の救急用テントなども張られ、地上作戦に向けた準備が着々と進められていた。戦車を操縦するイスラエル兵に「地上戦の準備はできているか」と尋ねると、兵士は険しい表情のままでうなずいた。

 近くの農地で高台に登ると、時折、空爆による鈍い爆音が響き渡り、数キロ先のガザで黒煙が高々と舞い上がるのが見えた。

 イスラエル軍が現時点で地上戦に踏み切るかどうかは不明だ。地上部隊の展開は「ハマスに対する脅し」(軍事筋)との見方もある。ただ、イスラエル政府は既に予備役招集を決定、バラク国防相は地上戦も辞さない姿勢を繰り返し強調しており、部隊増強が続くガザ周辺は一触即発の緊迫した空気が漂っている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081229-00000049-yom-int