財布の中や銀行の現金自動預払機(ATM)などで年を越すお札の総額が約81兆6000億円と、前年末に比べて0・4%程度の増加にとどまることが29日、日銀の資金需給見通しで分かった。日銀は30日に集計結果を発表する。
0・4%増は、コンピューターの「2000年問題」に絡む特殊要因を除けばバブル経済が崩壊した最中の1992年以来、16年ぶりの低い伸び率となる。
金融機関関係者によると、世界的な経済危機による雇用不安などから節約志向が高まり、お札を多めに持つ人が減っていることが背景にある、という。年末年始の休日が前年より短いことも影響している、との指摘もある。
日銀は、相次いで利下げを実施したほか、金融市場向けに大量の年末越え資金を供給している。しかし金融機関から企業や家計にはお金が十分に回っておらず、年越しのお札は低い伸びにとどまる見通しだ。