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2008年12月28日(日) 07時02分

涙の大八木GM…高知中央 聖地に刻んだ2Tスポーツニッポン

 毎日新聞社主催第88回全国高校ラグビーは27日、東大阪市・花園ラグビー場で開会式と1回戦8試合が行われ、元ラグビー日本代表の大八木淳史氏(47)がゼネラルマネジャー(GM)を務める初出場の高知中央(高知)は平工(福島)に10—78で完敗した。大八木氏の伏見工(京都)の後輩、薬師寺利弥監督(34)率いる光泉(滋賀)も国学院栃木(栃木)に17—19で惜敗。2回目出場の深谷(埼玉)は新田(愛媛)に81—0と大勝した。

 創部2年目で乗り込んだ聖地に確かなツメ跡を残した。花園常連の平工に大敗も、高知中央が高知県勢5年ぶりとなるトライを奪った。「2トライや。自信を持て。高知のラグビーの新しい幕開けなんや。これからや。泣くな」。両目を腫らした大八木GMも、完敗の中に希望の光を見いだしていた。

 恩師の山口良治・伏見工総監督から激励されて臨んだ一戦。セットプレーで押され、計12トライを奪われたが、CTB加藤主将の45メートル独走トライなど10点を挙げた。部員の成長を感じ取った大八木GMは試合前のロッカーから泣いていた。

 映画「スクール☆ウォーズ」のモデルとなった伏見工から同大、神戸製鋼で活躍した大八木氏は昨年4月、ラグビー不毛の地と呼ばれる高知に乗り込んだ。そこからは“平成版スクール☆ウォーズ”の毎日。競技経験者はほぼゼロで、不登校児や他クラブを逃げ出した生徒、入退部を繰り返す部員に、辛抱強くラグビーの魅力を教え込んだ。神戸の自宅から月10日は高知に通い、合宿では同じ部屋に寝泊まりして生徒たちの信頼を勝ち取った。練習を休む選手は減り、落ちこぼれ軍団はわずか2年で高知県代表へと変身を遂げた。

 「来年につながるトライを奪うことができた。余計に強くなりたいと思った。これからは僕らが1勝を目指したい」。2年生のCTB浅利は力強く話した。07年3月1日の創部から667日。まだしるされたばかりの高知中央の部史に、輝かしい1ページが加わった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000043-spn-spo