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2008年12月28日(日) 08時17分

「私のすべて」…幸満ちゃんの母、締め付けられる思い手記に読売新聞

 千葉県東金市で殺害された保育園児成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)の母親で、看護師の多恵子さん(38)が27日、現在の心境を手記につづり、読売新聞に寄せた。

 遊びに出かけた友達宅が留守で、多恵子さんが勤務する病院に戻りながら再度外出し、事件に巻き込まれた幸満ちゃん。悲劇から3か月がたち、前日には無職勝木諒(かつきりょう)容疑者(21)(東金市東上宿)が殺人容疑で再逮捕されたが、多恵子さんは今も、「なぜ」と「もし」を繰り返し、自問しているという。

 手記は夜勤明けの27日、パソコンで書き上げた。

 「パソコン作業をしていると、いつもゆきが横からひょこっと顔を出して、ちょっかいを出してきたんです」。幸満ちゃんとの思い出は尽きない。多恵子さんは「こんなことにならなければ、今年もいつものように、家族で楽しく元旦を迎えるはずだったのに」と言葉を詰まらせた。

 毎年大みそかには、夕方からスーパー銭湯に行き、新年を迎えるのが恒例行事だった。昨年も、銭湯内のテレビで「紅白歌合戦」を見た。幸満ちゃんは歌手をまねて、保育所で覚えたばかりのダンスを多恵子さんに披露したという。

 多恵子さんにとって幸満ちゃんは、いつも母親を気遣う優しい娘だった。多恵子さんは最近、「ゆきは本当に物分かりが良く、あの日も『お母さんの邪魔をしちゃいけない』と思い、病院を出たのかもしれない」と考えているという。

 ◆成田さんの手記◆

 今回の再逮捕で、事件の全容解明に一歩近づいたとは思います。しかし、なぜゆきを殺さなくてはならなかったのか、なぜゆきでなくてはならなかったのか…。なぜ、なぜ、という思いが胸の中に渦巻いています。

 犯人に対して、怒り、悔しさはあります。それでも、あの日、友達の家に遊びに行かせなければ、着いたかどうか確認していれば、ゆきが病院に戻ってきたときに病院内で出会っていれば…、そうすればきっと犯人と出会うこともなかったのに……。そう思うと、悔やんでも悔やみきれません。

 でも、もうゆきは帰ってきません。私にとって、ゆきがすべてでした。ゆきはかわいい娘であり、私の良き理解者であり、親友のような、姉妹のような存在でした。ゆきがいなくなった今、喪失感を仕事の忙しさで紛らわせるだけです。それでも、ゆきが走り回った病院の廊下や、大好きだった自転車、お気に入りだった本などを見ると、楽しそうにはしゃぐゆきの笑顔が思い出されて、胸が締め付けられます。

 全てが明らかになり、このような事件がもう2度と起きない、このような悲しい苦しい思いを誰もしない、そのような社会を願ってやみません。

 最後に、警察、報道関係の方々、捜査にご協力下さった皆様に、感謝申し上げます。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081228-OYT1T00010.htm