記事登録
2008年12月28日(日) 08時55分

「文明の衝突」の著者、ハンチントン氏死去読売新聞

 【ワシントン=増満浩志】世界的ベストセラー「文明の衝突」の著者として知られる米政治学者のサミュエル・ハンチントン元ハーバード大教授が24日、マサチューセッツ州マーサズビニャードで死去した。81歳。同大が発表した。死因は明らかにされていない。

 1927年、ニューヨーク市生まれ。飛び級で18歳の時に名門エール大を卒業し、陸軍で兵役などを務めた後、ハーバード大の教職に就いた。昨年に引退するまでの58年間、同大で教べんを執り、編著書は17冊に上る。

 93年に発表した論文では、冷戦後の世界について、宗教や文化の違う各文明間で紛争が起きると予測。そのカギとなる文明圏として、西洋、イスラム、インド、中国、日本など八つを挙げた。この論文に加筆して96年に出版された「文明の衝突」は、39の言語に翻訳され、世界で議論を巻き起こした。

 さらに、米国を西洋文明圏と考える立場から、ヒスパニック系移民が急増する米国について、「放置すれば、英語とスペイン語の二重言語社会に向かい、米国本来の文化が失われる」と懸念。その主張をまとめた「分断されるアメリカ」(2004年)は、米国内や中南米で波紋を呼んだ。

 主張は保守的だったが、一貫した民主党支持者で、77〜78年にはカーター政権で国家安全保障会議の調整官も務めた。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081228-OYT1T00168.htm