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2008年12月28日(日) 07時00分

渡辺監督 亡き恩人へ涙のV報告スポーツニッポン

 天国の恩人に涙の優勝報告——。西武の渡辺久信監督(43)が27日、群馬・前橋市内で行われた母校・前橋工野球部OB会主催の日本一祝賀会に出席。壇上では日本一になった11月9日に他界した佐田武夫・前後援会長(享年83)に感謝の言葉を述べ、涙を流した。亡き恩人への思いを胸に来季の連覇を誓った。

 声にならなかった。亡き恩人への感謝の言葉を述べると、感極まった渡辺監督の目には熱いものが込み上げてきた。

 「日本シリーズ第7戦後に佐田後援会長が逝去されたことを聞かされた。中学時代に僕を見いだしてくれた人。今思うと、きょうもこの席に…。この場で会長に優勝報告したかった」。

 前橋工野球部の父のような存在だった。同校OBで、佐田建設の社長時代にはスケートなどスポーツ界を支援し続けた前後援会長。中学時代、故郷・新里村(現桐生市)まで直々に足を運んでくれ「前工で野球を続けないか」と熱心にスカウトされた。入学後も父親のように接してくれた恩人の悲報を聞いた時は悲しみに暮れた。11月9日、巨人との日本シリーズ第7戦、渡辺監督は西口—石井一—涌井の大胆な継投で勝負に出た。「佐田会長に教えられた前工魂である“勝ちに徹すること”を実践したことがあの投手起用につながった」。日本一が決まる大一番で、天国からの見えない力が渡辺監督の勝負魂を呼び覚ました。

 佐田前後援会長は日本シリーズ中は意識がなかったが、9月26日に札幌でリーグ優勝を果たした時は渡辺監督の雄姿を自分のことのように喜んだという。リーグV以来の渡辺監督の涙に、息子である佐田玄一郎・衆議院議員(56)は「オヤジのために泣いてくれた監督に感動した。前工野球部がすべてだった人。天国で喜んでいると思う」と目頭を熱くした。

 高校時代を過ごした前橋での新たな誓い。「この壇上に上がれるのも会長のおかげ。僕の支えだし、父親だった。天国で見守ってくれていると思う」。来年は連覇を達成し、再び亡き恩人に最高の報告をする。

 ≪渡辺監督 前橋市民栄誉賞“第1号”に≫日本一祝賀会に出席した高木政夫・前橋市長(58)が渡辺監督の前橋市民栄誉賞“第1号”を確約した。市民栄誉賞は市の規定で制定していないが「第1号?いいですね。渡辺監督は前橋市民の誇り。いずれは考えます」と前向きに検討する方向だ。今季は前橋で西武主催の公式戦を開催したが、来季はゼロ。「前橋で年に5試合は行ってもらえるように、ぜひ渡辺監督にお力添えをしてもらいたい」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000001-spn-spo