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2008年12月28日(日) 23時36分

<損保統合>再編第2幕加速も 大手3社最終調整で毎日新聞

 三井住友海上グループホールディングス、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の損保大手3社が経営統合に向けた最終調整に入った背景は、金融危機の深刻化と国内景気の急速な悪化だ。損保業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、規模で引き離される損害保険ジャパンなどの出方が今後の再編の焦点となりそうだ。

 損保業界は99〜01年にかけて、住友海上火災と三井海上火災が統合するなど現在の大手6社に集約された。自動車保険料の自由化による競争激化に加え、当時の金融システム不安で大手銀行の再編が進み、これに連動する形で再編が進んだ。

 だが、業界では「さらなる再編は必至」との声がくすぶっていた。少子高齢化や若者の車離れを背景に主力の自動車保険の販売は低迷し、「先細りする市場で大手6社すべてが生き残るのは困難」との見方が強かった。

 そこに金融危機が襲いかかり、国内の新車販売台数は大幅に落ち込んでいる。保険金不払い問題の後遺症もあり、本業は不振脱却の糸口が見えない。

 損保各社は活路を見いだすため、海外投資に傾斜してきたが、市場の混乱に直撃され、証券化商品などで多額の損失を計上。08年9月中間決算では大手6社のうち5社が最終(当期)利益で大幅減益に陥り、三井住友海上は経常赤字に転落した。

 なかでも業界首位の東京海上ホールディングスを追う三井住友については再編をめぐる観測が流れていた。三井住友は親密な住友生命保険や三井生命保険とのグループ化もとりざたされたが、「今回の3社統合の方が主導権を握りやすい」(業界関係者)との思惑が働いた可能性もある。ただ、統合相手のあいおいには異論が出ることも予想され、統合交渉には流動的な面も残りそうだ。

 一方、今回の3社統合が実現すると、東京海上ホールディングスを上回る国内損保最大手が誕生し、業界3位の損害保険ジャパンは上位2社に大きく水をあけられることになる。5位の日本興亜損害保険も筆頭株主の米投資会社から他社との合併を求められており、業界は一気に再編が加速する可能性も出てきた。【辻本貴洋】

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