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2008年12月28日(日) 21時49分

<ガザ空爆>ハマス幹部「醜い虐殺だ」病院にあふれる負傷者毎日新聞

 【エルサレム前田英司】イスラエル軍は28日もパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの関連施設に対する空爆を続行、犠牲者数は拡大するばかりだ。今回の猛攻は、イスラエルによる厳しい境界封鎖にさらされてきたガザ住民に追い打ちとなっており、食料支援が滞るなどの人道危機の懸念も高まっている。

 ガザ在住の毎日新聞助手によると、ガザ市内は28日も断続的な爆撃にさらされ、大きな爆発音がとどろいた。民家の多くは爆風でガラスが割れるなどの被害を避けるため、窓を開放。停電を強いられる中で暖房器具を使えず、毛布で暖を取っている状況だ。

 市民の間には、終わりの見えないイスラエル軍攻撃への不安が広がっている。商店の大半がシャッターを閉めたままの一方で、開店中のパン屋の前には買いだめに走る人々が殺到した。多くが外出を避けて家の中に閉じこもり、「家族全員、死ぬのも生き残るのも一緒だ」(地元住民)と息を潜めているという。

 ガザ市内の病院には大量の負傷者が次々に運び込まれている。しかし、ガザ境界封鎖による物資不足の影響で、約100台ある救急車の半数は整備不良などに陥って動かず、薬の在庫も不十分なため、過去最大規模の惨事に対応できる状況でないという。支援団体からは人道危機の誘発を懸念する声が上がっている。

 イスラエル軍は境界での検問態勢を強化しており、外国報道機関のガザ入りも許可していない。

 ハマス最高幹部のハニヤ氏は27日、「パレスチナ人に対するこれほどまでに醜い虐殺は見たことがない」とイスラエル軍の攻撃を激しく非難し、自爆テロを含む報復を宣言した。

 イスラエル紙ハーレツによると、既に東エルサレムやヨルダン川西岸自治区でパレスチナ人による抗議デモが頻発。西岸の中心都市ラマラでは、数十人のパレスチナ人がイスラエル軍に投石し、軍がゴム弾などで応戦する事態に発展した。西岸の別の町ヘブロンでも同様の衝突が起きた。

 イスラエル警察は国内でガザ空爆に対する「報復テロ」の恐れがあるとして警戒を強化、緊迫した空気が漂っている。

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