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2008年12月28日(日) 18時58分

おたすけ自販機落書き受難 カメラ反感、既に数十台中国新聞

 愛知県警とコカ・コーラセントラルジャパン社が共同開発した一一〇番直通電話と監視カメラ付きの「おたすけ自動販売機」が設置以来、「監視反対」などと三度も落書きされた。背景にはカメラへの反感があるとみられる。しかしカメラ付き自販機はこれまで愛知や大阪などで少なくとも数十台設置されていた。

 おたすけ自販機は十月十日、同県豊橋市の運動公園内に設置。一一〇番できる自販機は全国初でテレビや新聞が取り上げた。三日後に黒色スプレーで「監視社会」と書かれカメラも破壊。その後も「カメラ反対」などと落書きが続き、豊橋署が器物損壊容疑で捜査している。

 同署によると、カメラは自販機前に人が来ると自動的に録画。約二時間の録画後は重ね撮りし、周辺で事件があれば警察に任意提出される。署の担当者は「カメラは電話機へのいたずら対策。一一〇番できるのが特長なのにカメラが注目されて…」と困惑する。

 カメラ付き自販機は、日本自動販売機工業会などが二〇〇六年三月から、自販機荒らし対策で愛知、大阪、福岡三府県に設置。台数は非公開だが、「名古屋市には一時六十台あった」(愛知県警関係者)という。

 日本防犯設備協会によると、カメラなど監視装置の市場は推定で〇二年度約千七百七十億円から〇六年度約千九百九十億円に拡大。コンビニや商店街など街中にあり、事件解決に役立っているのも事実だ。

 一方でプライバシー侵害を懸念する声も根強い。東京都杉並区は〇四年、防犯カメラに関する条例を制定。路上などにカメラを設置する際、届け出や画像の外部流出防止措置などを義務付けた。

 おたすけ自販機について、「監視社会を拒否する会」共同代表の田島泰彦たじま・やすひこ上智大教授は「公共の場で市民を無差別に撮影することや、映像乱用のチェック機能がなく、問題が多い。カメラを設置するなら根拠となる法令が必要」と話している。

【写真説明】「監視社会」などと落書きされた「おたすけ自動販売機」

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812280250.html