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2008年12月28日(日) 16時41分

【ランキング2008】ワタリウム美術館の美術本トップ3産経新聞

 東京・神宮前のワタリウム美術館内「オン・サンデーズ」は1980年に開業した、現代美術書をそろえた先駆け的な書店。ネットであらゆる本が手に入る時代だが、ここではむしろネットに出ないもので、「手にとって実際に見ていいもの」を積極的に扱う。常時4000〜5000タイトルの本が並び、アーティストの自費出版的なものから、美術展の図録など少部数の本などもそろえる。客層に外国人の姿が多いのも特徴的だ。

 1位の『猫楠−南方熊楠』は年間約1000冊売れている。水木が熊楠の生涯を漫画で描写した。単行本で96年に発売。その後、文庫化。南方熊楠は博物学、民俗学からエコロジーまで広範囲に研究。ワタリウム美術館では、昨年に熊楠展を開催した。棚には熊楠コーナーもある。

 『日本を知る105章』は2001年に発行。販売部数は100〜150冊。「能」「生け花」「マンガ」「桂離宮」など105のキーワードを41人の作家や文化人が解説する。全文英訳付き。

 3位は今年初めに出版された洋書。都内のアートスペースを探訪しているのだが、単なる場所の紹介ではなく、ギャラリストらをインタビューし、彼らの姿勢やコンセプトを明快にまとめている。

 このほか、サイ・トゥオンブリ、ゲルハルト・リヒター、キース・へリングなどの洋書がそれぞれ20〜30冊は売れていて、現代美術に強い書店であることをうかがわせる。

 壁面を利用して小粋な展覧会を開催しているので訪れるだけで楽しい。現在は「ディズニー・タイムカプセル展」(2月1日まで)を開催中。年末年始は31日〜1月3日が休み。問い合わせは(電)03・3470・1424。(渋沢和彦)


◇ワタリウム美術館の美術本トップ3

(1)『猫楠−南方熊楠』水木しげる(角川文庫ソフィア)

(2)『日本を知る105章』(平凡社)

(3)『Art Space Tokyo』Ashley Rawlings(CHIN MUSIC PRESS)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000533-san-soci